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ファザーマシン2/Chapter31

動画制作のニッチな悩みをモノづくりで解決

皆さん、こんにちは。工業系YouTubeチャンネル、なんとか重工のとんこつです。今回は、「映像制作の課題その2」をお送りします。

ツイッター(X)がきっかけで映像クリエイターの那須さんとコラボすることになりました。ユーチューバー同士のコラボと言えば、似たジャンルや親和性の高いチャンネル同士で行われるのが一般的です。

カメラに取り付けるマイクマウントを設計・制作しました

しかし、映像制作を専門とする那須さんのチャンネルと製造系の私たちのチャンネルでは、どうコラボすればいいのか最初は全くわかりませんでした。特にコラボの定石として、お互いのチャンネルで動画を1本ずつ公開し、それぞれの視聴者を交換し合うことが多いです。

ですが、単に那須さんがプロの目線で私たちの作業風景を撮影するだけでは、相乗効果を得るのは難しいと感じていました。

そんな中で発見したのが、2つのチャンネルに共通する大きな要素。「機材」です。

撮影にはカメラ、マイク、照明、三脚などさまざまな機材が必要です。

もちろん、私たちのチャンネルでも、モノづくりの現場でこうした機材を駆使して動画を制作しています。私たちは、共通の「機材」というテーマに焦点を当て、那須さんが抱えていたある問題に注目することにしました。それが「マイクマウント問題」です!

那須さんが使用しているソニーのα6400というカメラで外部マイクを使う際、普通に外部マイクをマウントすると自撮りするときにモニターがマイクの影になり見えなくなるという問題がありました。

■完成品をアルマイト加工

サードパーティ製のマウントを使用するとモニターは見えるようになるものの、配線が不満だと那須さんは言います。さらに那須さんからの要望は続きます。「マイクを180度ワンタッチで動かせない?」と。

つまり、カメラを被写体に向けて自分の声を入れるのと、自撮りしているときにマイクを自分に向ける動作をワンタッチで切り替えたいというのです。こんな商品は未だかつて存在していません。

すごくニッチで、実際に使っている人にしか理解されないポイントですが、これこそ私たちのモノづくりの力を発揮する絶好のチャンスだと思いました。

車の削り出しハンドルもそうですが、世の中にないからこそ求める人がいるのです!

今回の製作担当はケロさん。かなり難しい製品でしたが、ほんの数日で機構部分を思いついたそうです。さっそく試作に取り掛かり、今回は5軸加工機がメインの作業となります。私は中に入れるピンを汎用旋盤で製作しました。

試作が完成し、動作チェックを行ったところ、1箇所動きがシブいところがありましたが、少しの調整で解決できそうでした。ここらの設計力はさすがケロさんです。デザインも含め、那須さんが満足してくれると確信しました。

そして動画の構成も決まりました。製作編を「動画っ校」で公開し、完成した製品のアルマイト加工を「なんとか重工」で公開するという形です。

同業であるユーチューバーとの初コラボ、一体どんな映像になるのか、那須さんは喜んでくれるのか。期待と不安が交錯する中、私たちは新しい挑戦に胸を膨らませていました。次回の連載もお楽しみに!


■著者紹介
工業系YouTuber【なんとか重工】とんこつ
工業系YouTubeチャンネル【なんとか重工】を、相方のケロと2人で運営。旋盤やフライス、マシニングに溶接機、3Dプリンターなどを活用して自分たちが作りたいモノを作るチャンネル。登録者数は12.5万人(2024年7月25日現在)


2024910日号掲載)