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ファザーマシン2/Chapter27

アルミ削り出しでステアリングを作成

皆さん、こんにちは。工業系YouTubeチャンネル「なんとか重工」のとんこつです。

今回は、「車ハンドル製作依頼編」をお送りします。

こういった活動をしていると、視聴者さまから部品製作依頼がよく来ます。お断りさせていただくことが多いですが、余裕があれば引き受けることもあります。

断る理由としては、ワンオフの場合、製作費が非常に高くつくことや、一般の方からの依頼の場合、図面がないため設計から対応しなければならず、そのための綿密な打ち合わせも必要になるからです。

ステアリングを3Dモデリングしたものです

そんな中、1件の熱いメールがなんとか重工のもとに届きました。

内容は昭和52年製の日産のセドリック(バン)を12年乗っていて、カスタムコンセプトはアメリカナイズされた国産車。アメリカではカスタムにビレットパーツを使うことが多く、ハンドル(ステアリング)なども既に持っているが、昭和50年頃に日産がローレル(通称ブタケツ)に使っていたハンドルをアメリカ風に削り出して作りたいというものでした。

ここからは依頼者さんをOさんとさせていただきます。

Oさんはあちこちに問い合わせたそうですが、サイズが大きすぎるとか、規格が合わないなどの理由で断られ続けたとのこと。たまたまYouTubeで私たちの動画を見て、藁をもつかむ思いでメールを送ってこられたそうです。

文章からして図面は期待できなさそうでした。しかし、熱いメールをもらったので一度会って詳しく話を聞いてみることにしました。

会ってみると、Oさんは愛知県内で美容院を営んでいる気さくな方で、車のドレスアップイベントにも参加するなど、乗り物やものづくりに対する熱い思いを持っている方でした。

■モデリングのむずかしさ

ひと通り話を聞いて、ケロさんはOさんから並々ならぬ『こだわり』を察して断ろうとしていましたが、その熱意に心を打たれ、どうしても挑戦してみたくなり、私が製作することになりました。

このときはまだ、大変なことになるとは微塵も思っていないとんこつでありました

マシニングセンタで加工するためは紙図面を3Dへモデリングします。普段の仕事の場合、3Dモデルが支給されることも多いですが、今回は図面などありません。

ポンチ絵すらなく、渡されたのは鉄と革で作られたシンプルなデザインのハンドル。かなり年代物のハンドルで、これをアルミ削り出しで作ってほしいという依頼でした。

車のことをよく知らない私はハンドルがどうやって取り付けられているのかも知りません。全て手探りで作業を行う必要があり、ハンドルを隅々まで観察しモデル化します。

面を作っては消し、作っては消しの繰り返しでモデリングがなかなか完了しません。Oさんは3DCADソフトを持っていないので、写真を送ってデザインを伝えるのですが、本当にOさんに細部まで伝わっているかわかりません。

この時代に3Dプリンターを持っていれば、と今となって強く思います(笑)。

こうした困難に立ち向かいながらも、自身の成長のため製作を決めたとんこつ。果たして無事にOさんが満足するハンドルを作れるのか? 今回はここまで。次回もお楽しみに!



2024710日号掲載)

工業系YouTuber【なんとか重工】とんこつ

工業系YouTubeチャンネル【なんとか重工】を、相方のケロと2人で運営。旋盤やフライス、マシニングに溶接機、3Dプリンターなどを活用して自分たちが作りたいモノを作るチャンネル。登録者数は12.5万人(2024年6月26日現在)