産業潮流
日本の労働生産性、OECD加盟38カ国中、時間当たり29位で一人当たり32位
- 投稿日時
- 2024/12/24 15:50
- 更新日時
- 2024/12/24 15:52
依然下位も、23年の上昇率高まる
生産性の向上を目指し調査や提言、実践活動を行う(公財)日本生産性本部が、このほど「労働生産性の国際比較2024」を公表した。OECD(経済協力開発機構)の統計をベースに、補完的に各国統計局のデータも用いてとりまとめた。同本部は「生産性向上の必要性や意義がますます高まるなか、政策立案や施策の展開に役立てたい」としている。
リポートは主に3つ、日本の(1)「時間当たり労働生産性」(23年データ)、(2)「一人当たり労働生産性」(23年)、(3)「製造業の労働生産性」(22年)について、それぞれOECD各加盟国と比較してまとめた。
23年時点での日本の「時間当たり労働生産性(就業1時間当たり付加価値)」は5379円(※)でOECD加盟38カ国中29位だった。同加盟国で下位にあたるが、日本はコロナ禍期間に大きく順位を下げ(18年21位→22年31位)ており、23年の同生産性は1.2%(実質ベース)増と同加盟国中9位の上昇率に。主要先進7カ国では米国に次ぐ2位の伸び率だった。
また23年の「一人当たり労働生産性(就業者一人当たり付加価値)」は877万円で、OECDの平均を大きく下回り順位は38カ国中32位だった(グラフ1)。主要先進国で最も低く、付加価値の水準は米国の55%程度、英国・カナダと比較しても4分の3程度にとどまった。ただ23年の上昇率はやはり相対的に高く(実質1.1%増、OECD加盟国で7位)、順位は下位ながら「多くの国と差は縮まっている」という。
■製造業の生産性、機械・電機・情報通信で2位
他方、製造業の労働生産性(22年時点)は全業種より比較的高い水準にあった。日本製造業における就業者一人当たり付加価値は1035万円で、OECD主要34カ国中、19位。イタリアやスペインとほぼ同水準だった。ちなみに上位3カ国はアイルランド(1位)、スイス(2位)、米国(3位)。アイルランドは米系大手製造企業(インテル、アップル等)の欧州本社が立地する関係で付加価値が高まっていた。スイスは精密機械や医薬品などの産業クラスターが高い生産性に結びついていると同本部で見ている。
日本製造業の労働生産性は2000年の1位から2010年に10位と落ち、近年は17~19位で推移している。製造業では生産性で大きく後れを取る業種と高生産性の業種が入り交じっており、高い方では機械・電機・情報通信が1995年から2020年にかけ生産性を2.4倍に増やし、OECD加盟国中2位を維持。産業別に分析した同本部の別のレポート(学習院大学経済学部教授・滝澤美帆氏著)は「機械・電機・情報通信は計測した産業の中で最も高い生産性の伸びを達成している。しかしながら米国との比較で格差はかなり拡大している」と記している(以上グラフ2)。
(※)購買力平価換算、以下同。
(日本物流新聞2024年12月25日号掲載)