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産業潮流

金属3Dプリンターで稼ぐ

投稿日時
2025/04/25 13:31
更新日時
2025/05/07 16:44

金型や最終製品で活用進む積層造形品

「INTERMOLD2025」では、AM(Additive Manufacturing、積層造形)の専門展「AM EXPO東京」が併催された。同エリア以外でも金属3Dプリンターを活用した取り組みが紹介されるなど、じわじわと広がりを見せている様子がうかがえた。

ナノファインバブルに使用される造形部品。ODECのもとには、最終製品に使用される量産部品の発注も増えてきているという

「3Dプリンターを入れてよかったです」と明るく話すのがODEC(和歌山県有田市)の中昌紀社長だ。マシニングセンタから旋盤、研削盤、放電加工機など、金属加工にまつわる各種工作機械を取り揃え、対応力の広さと高品質な部品加工に強みを持つ。7年ほど前に金属3Dプリンター(3D SYSTEMS製「ProX DMP200」とソディック製「LPM325S」)を導入し、受託造形を開始。自動車の部品の試作や航空宇宙・医療関連部品の造形はもちろんのこと、近年注目が高まっているナノファインバブルに使用される小物部品の量産などを行う。機械加工も自社で行えるため、AM以外の選択肢の提示や後加工まで一気通貫で提供でき、コストを抑えられているという。

「導入当時は中小企業の参入は少なく、広告宣伝の意味も含め導入しました。実際に、取引先は格段に増えましたし、仕事の幅も広がりました」(中社長)

同じく「入れてよかった」と話すのが自動車部品用の金型を手掛けるフジ(埼玉県川口市)。2022年にDMG森精機の「LASERTEC 65 DED hybrid」を導入し、金型の補修や異種金属を結合した付加価値の高い金型の造形などを行う。導入時は「最悪5軸機としても活用できる」と割り切っていたが、「想像以上の広がりを見せている」という。銅合金とマルエージング鋼を結合した金型では、銅合金側に水冷管を造形することで冷却速度を飛躍的に向上させたり、トリム型の刃先3㍉だけをハイス鋼にすることで耐久性を上げた金型を製造するなど、付加価値の高い提案に人垣ができた。

いずれの企業も専任の担当者を置きAM活用に力を入れる。「活用するのは結構難しいですよ。中小さんでは片手間になってしまい、大手さんだと担当者がコロコロ変わってしまい上手く活用できていないと耳にします」とフジの担当者が言うように、AMの波に乗るにはAMに合った組織づくりも必要になりそうだ。

(日本物流新聞2025年4月25日号掲載)