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オピニオン

(一社)日本物流システム機器協会 村田 大介 会長

投稿日時
2025/08/26 14:06
更新日時
2025/08/26 14:11

様変わりしたマテハン、JIMHが協調と成長のプラットフォームに 

今年5月、(一社)日本物流システム機器協会(JIMH)の会長に就任した村田大介氏(村田機械社長)。会長を務めるのは2度目だが、前回(2015年5月〜2017年5月)と比べ物流とそれを支えるマテハン業界の存在感は「様変わりした」と語る。JIMHの存在感も増すなか、業界の協調に向けた取り組みを加速させたい考えだ。後半では業界の景況感と見通し、9月の国際物流総合展と26年に控える九州での姉妹展への期待も聞いた。

――2度目の会長職です。前回(15~17年)と業界の状況も大きく違うのでは。

「本当に様変わりしました。当時(15年)74だった会員数も今では103です。設立時はいわゆる“縁の下の力持ち”で目立たない業界団体。初代会長の故・竹内克己さん(元ダイフク会長)は常々『何とか社会におけるマテハンの存在感を高めたい』と仰っていました。我々メーカーも物流を担う荷主企業も社会の中で非常に脚光を浴びています。竹内さんがお元気だったら喜ばれただろうと思います」

――変化の背景は。

「物流機器は自動車や家電と違い製品名があまり前に出ない。それは今も変わらず、従ってモノの世界で脚光を浴びにくかった。しかしモノからコトへ価値観が変化しました。『すぐ届く』『安全に届く』『働き方改革の実現』『人手不足への対応』――これはすべてコトの世界です。世の中の流れが変わり、特にディストリビューションというコトを実現するうえで(物流機器が)重要な役割を担っている。そこで注目されているのでしょう」

――最も肌で感じる変化は。

「参入企業の増加です。中にはまったくの異業種もあり、中国やゆくゆくはインドなどの企業の参入も増えるでしょう。業界の盛り上がりはプラス。ただその中にあってJIMHとしては、特に国内市場では過当競争や極端な値引き合戦を避け業界が協力するのが重要と考えます」

――詳しくお願いします。

「海外企業は製品を標準化し自社のスタンダードを押し出す例が多い。とりわけITは『一人勝ち』の生じやすい業界です。ただ物流はなかなかベタな世界で、ひとつの標準で押し通すのは少なくとも今のところ難しい。(物流機器の)ハードも多様化していますし、ソフトも制御系と情報系など役割分担があります。お客様の話をじっくり聞き、同業者とも細かく打ち合わせながら互いの強みを出す『三方良し』な形が国内市場に合うと考えます。一方でいずれ海外企業の参入もさらに増えるでしょうから、我々も海外に販路を求めなければ。協調の強みを海外でも発揮できれば良いですし、JIMHとして(海外展開を)支援する必要もあると思います。そうした協調のプラットフォームとしてJIMHが在れれば幸いです」

「また各社の生産拠点もほぼ国内ですから、今後はBCPの観点で可能な限り助け合うことも重要。仮に南海トラフが起きれば多くの仲間が被災してしまいます。我々も過去、東日本大震災で壊滅的な被害を受けた半導体工場で他社と協力し迅速な復旧を果たした例がありました。こうした生産面でもいざとなれば協調を進めるべきです」

――そうした協調のためには普段から顔を合わせ関係性を築くことが重要になりそうです。協会でその基盤になる活動はありますか。

「ひとつは人材育成。この業界は経験が物を言うので、お客様側で物流プロジェクトを仕切る人材もけっこう決まっている。我々もそうしたスタープレーヤーを育てねばなりませんし、他社の製品に詳しくない企業も現場では皆と協調する必要があります。そこで企業の垣根を超えて社員教育を行う『マテハン塾』を続けてきました。今後はより力を入れます」

■隗より始めよ

――業界はコロナ禍ごろから空前の忙しさでした。足元は建築費の高騰で物流施設の供給が減っていますが、短期的な業界の見通しは。

「(受注は)高いレベルで安定していますが、人手不足に起因する建築費の高騰で納期が延びる事態が引き続き発生しており、案件の縮小や繰り延べとして顕在化しています。グリーンフィールドからの大型物流施設や工場の新設はしばらく滞るでしょう。ただ今後は各地で昭和のシステムが限界を迎え、様々な施設の統廃合や老朽更新が出てくる。基調は人手不足なので改修・改善・改造のようなニーズは細かく見ていけば掘り起こせると思います。以前は多かった人件費がいくらで自動化した場合の費用対効果が…という話も、今は『人が集まらずとにかく自動化しなければ』とより切羽詰まっています」

――長期的には業界の更なる盛り上がりも期待できますか。

「世界的に少子高齢化が進み、かつ物を運ぶという単調な仕事は敬遠されがち。ニーズは高まると見ています。その過程で参入も増えるでしょうが、ある意味よい刺激につながると期待しています。オープンイノベーションで国や教育機関も関心を示してくれていますから、技術革新が生まれる素地もある。ただ“紺屋の白袴”ではないですが、まずは我々も自身の足元を見ながら勉強や効率化に努めなければならない。例えばヒューマノイドが注目されていますが、買って使わないと何ができて何ができないのかもわからない。そういう好奇心は重要です」

――さて9月に国際物流総合展が、26年6月には初の九州・東アジア 国際物流総合展が開催されます。貴会も主催に名を連ねていますね。

「国際物流総合展も昔は隔年でしたが、今は色々な『分家』が生まれました。九州は半導体を筆頭に新たな産業が生まれており、物流量も増え自動化ニーズが高まっていると感じます。九州は国際物流のハブ。海外からの出展も増えるかもしれません。両展とも成功に導きたいと思います」



(日本物流新聞2025年8月25日号掲載)