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【大阪・関西万博】中小・スタートアップ出展企画推進委員会 立野 純三 委員長

投稿日時
2024/05/01 09:48
更新日時
2024/05/01 09:53

大阪の377社の魅力を世界に

2025年日本国際博覧会大阪パビリオン推進委員会(会長:吉村洋文大阪府知事)が大阪・関西万博に出展する大阪ヘルスケアパビリオンの「展示・出展ゾーン」へ、中小企業やスタートアップ企業377社が出展する。今後、出展企業の魅力を26の支援事業「リボーンチャレンジ」を通じて、国内外へ広く発信していく。同事業を企画・運営する中小・スタートアップ出展企画推進委員会の立野純三委員長(大阪産業局理事長、大阪商工会議所副会頭、ユニオン代表取締役)に話を聞いた。

——リボーンチャレンジとはどういったものですか。その意義も含めて。

「大阪・関西万博の大阪ヘルスケアパビリオンに出展を目指す中小企業やスタートアップ企業を、大阪産業局や大阪商工会議所のほか大阪商工信用金庫などの金融機関や関西大学など多様性のある26の事業主体がそれぞれテーマを掲げ、支援するものです。今あるものを改良するのではなく『未来の技術を見せよう』と思っています。出展企業の選定はほぼ終了し、これから一年をかけて内容をブラッシュアップしアピール力を高めていきます」

——万博というと大企業が参加するもの、というイメージがありますね。

70年の大阪万博は、パビリオンに関しては中小企業の出展というのは難しかったですね。ただし多くの中小企業が参加しており、私が現在代表を務めるユニオンも、パビリオンのドアハンドルの仕事をさせてもらった。技術力も上がりブランドイメージの向上にもなりました。今回はリボーンチャレンジという支援策を通じて、公平にそうしたチャンスを提供し、さらにパビリオンで展示します」

■10社万博からユニコーンを

——万博会期中(26週間)は、リボーンチャレンジ毎に出展される26の展示企画が毎週入れ替わる形で運営されますね。

「展示は各社わずか一週間ですから、見に来られた人とうまくマッチングしないこともあります。見たい人が見られなかったということも起こります。そこで大阪産業局などでは、後日どこかで出展企業とのマッチングの場を設けられないかといったことも検討中です。そこでのビジネスの創出も目指していければいいですね。70年の万博では、例えば携帯電話でも展示から普及まで長い期間がかかっていますよね。25年の万博は、展示から発売、普及の速度はもっと短くしていかなければ世界には勝てない。そうして377社の中から、10社でもユニコーンやゼブラが生まれればすごいことになりますよ。リボーンチャレンジはそれを可能にすると信じます」

——大阪のモノづくり企業の強みとは。

「私個人の考えですが、多くの中小企業は30年前に新しい機械や設備を導入しました。しかし失われた30年の間、設備投資がなかなか難しくなり、機械を職人芸で運用してきています。大量生産は難しくとも、少量多品種で、そこに付加価値がつくモノづくりは発展してきました。このノウハウに、新しいアイデアを加え、万博で発信することで再び世界で戦えると思います。どう発信するかのお手伝いは我々の仕事で、映画の予告編のようなものを作るとか、SNSでの発信を強化するなど、知恵を絞って多くの人に見に来てもらうように取り組みます」

——ユニオンはリボーンチャレンジの一出展企業でもありますね。

「未来のドアハンドルの展示を目指します。ドアの前に立つと、ドアハンドルのホログラムが出現し、引っ張るとドアが開きます。もう一つ、扉の開け閉めにより発電し、停電などに備えて蓄電するものも開発中です。通常の製品開発ではどうしてもビジネス的に手堅く、既存技術の延長線上で考えがちです。万博出展というきっかけがなければ、『これが出来たら面白いやろな』という未来の技術に中小企業はなかなかチャレンジできません。開発者もワクワクしながらやっていますよ。私もそれを見るのが楽しいです」

——万博には批判意見も多くあります。「やってよかった」とみんなが思える万博にするのに必要なことは。

「例えば『大屋根(リング)』には賛否両論うず巻いています。しかし実際に完成して来場されれば『世界一の木造建築を完成させる日本の技術はすごい』と思う人も多いと思います。無駄を徹底的に無くすことは前提です。しかしやると決めたなら、不必要にケチって中途半端なことをやって『日本ってこんなものか』となるのではなく、日本の最高のものを、世界中に、そして子どもたちに見てもらうことが大事です。魅力のある建物、魅力のある展示には世界中から人が訪れます」



2024425日号掲載)