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(一社)運輸デジタルビジネス協議会 代表理事 小島 薫 氏/traevo 代表取締役社長 鈴木 久夫 氏
次世代の物流データ基盤、物流事業者・荷主のデータ取得負担をゼロに
- 投稿日時
- 2026/02/23 09:00
- 更新日時
- 2026/02/24 15:54
【写真左】traevo 代表取締役社長 鈴木 久夫 氏
【写真右】(一社)運輸デジタルビジネス協議会 代表理事 小島 薫 氏
改正物流効率化法により、荷主企業には荷待ち・荷役時間の削減や積載率向上が義務付けられた。しかし、その実態把握には膨大な人手と時間を要する調査が不可欠で、現場の大きな負担となっている。こうした中、トラックに積載されているデジタコデータを活用し、低コストで作業ステータスを自動可視化する(一社)運輸デジタルビジネス協議会(TDBC)とtraevoの取り組みが脚光を浴びている。

――共同輸送データベースの取り組みが、2025年度ロジスティクス大賞を受賞するなど注目されています。まずは、TDBCとtraevoについて教えてください。
小島薫(TDBC) TDBCは16年に設立された運輸業界を中心とした業界団体です。特長はタクシーやトラックなど運輸業界の事業者会員だけでなく、そうした企業が抱える課題を解消する技術やリソースを持つITベンダー・金融機関などのサポート会員、業界変革に向け理解を得ることが必須となる荷主企業や自治体などパートナーシップ会員の三位一体で取り組んでいることです。従来、業界課題は関連団体が意見を取りまとめ政府に提言するのが一般的でした。しかし、それでは時間がかかりすぎる。我々は『誰かが解決してくれるのを待つのではなく、自ら解決する』という強い意志を持って取り組んでいます。
鈴木久夫(traevo) TDBCのワーキンググループ活動から生まれたのが、動態管理プラットフォームサービスを提供するtraevoです。18年に大手自動車メーカーから、調達物流において「今、荷物がどこにあるのか」が荷主にも運送会社にも分からないという課題が持ち込まれたことをきっかけに議論が進みました。当社の役割はTDBCでの活動成果を持続可能な形で社会実装すると共に、日本の運輸業界を次の世代に繋いでいくための「ユニバーサルシステム」として定着させることです。
――traevoが提供する具体的なサービスについて教えてください。
鈴木 私たちが提供するサービスは、大きく二つです。一つは、物流現場の「今」をリアルタイムに可視化する「traevo Platform」。もう一つは、その蓄積データを活用して業種の垣根を越えた共同輸送のパートナーを探すマッチングサービス「traevo noWa」です。
――いずれも類似のソリューションがあるように思います。違いは。
小島 まず前提として、我々はユニバーサルシステムを目指しています。そのため、他のソフトウェアベンダーのように「囲い込む」ことをしないオープンな仕組みであるということです。加えて、トラックに既に搭載されているデジタルタコグラフ(デジタコ)をそのまま活用する「デバイスフリー・システムフリー」であることです。
鈴木 デジタコには新物効法に対応するための「荷積み」「荷下し」「待機」などの作業ステータスを取得することができます。traevo Platformでは、メーカーごとにバラバラなデータの「方言」をプラットフォーム側で「共通言語」に変換して集約。データは自動で収集され、ドライバーにも追加の入力がない負担の少ない仕組みになっています。サービス利用時に機器を追加で購入する必要がないため、トラック1台あたり月額500円という極めて低いコストで導入可能です。
――実際の活用事例や実証実験での成果はいかがでしょうか。
小島 すでに多くの荷主・物流企業で成果が出ています。例えば、イオン北海道様の実証では、トラックが店舗に接近したのを検知すると、音声と光で店舗内の店員に知らせる仕組みにtraevoを活用いただきました。これにより、店員がトラック到着前に荷受準備を整えられるようになり、結果として平均15%の荷役等時間短縮を実現しています。
■共同輸送もマッチング
――データ活用を「共同輸送」へと発展させたのがtraevo noWaですね。
鈴木 その通りです。noWaはいわゆる「物流版のマッチングサービス」です。荷主企業が自社貨物の「積み地」「降ろし地」などを登録することで、他企業が業種や地域を越えて効率的に共同輸配送を行う相手を探すことができます。24年度に行ったデジタルマッチングの実証実験では、登録ルート数1257、のべ28万5000台という膨大なデータが集まり、30件の共同輸送が検討され、8つのルートで共同輸送が実現しました。
――今後の展望についてお聞かせください。
鈴木 改めて、この仕組みを単なる一企業の利潤追求の道具に終わらせてはならないということです。私たちが守るべき社会基盤を次世代へ確実に繋いでいくためのユニバーサルシステムとして定着させることこそが、真の使命だと確信しています。
小島 当団体は他にも様々な現場課題の解消に向けたワーキンググループ活動をしています。いずれも現場の課題ありきで、そこに対処するための仮設を立て、モックアップを作り、現場で実証・評価・改善し社会実装を進めています。このサイクルを基本的に1年で回し、年一度のTDBCフォーラムで共有する。今年も行う予定ですので、関心のある方はぜひ参加いただければと思います。