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オピニオン

厚生労働省 大村倫久氏 
2028年技能五輪国際大会日本組織委員会 池田佑太氏 
技能五輪21年ぶり日本開催へ

投稿日時
2026/03/09 13:34
更新日時
2026/03/09 13:39

新興技術・積層造形も競技に

2028年11月、第49回技能五輪国際大会が日本・愛知で開催される。21年ぶりとなる日本開催に向け、厚生労働省と(一財)2028年技能五輪国際大会日本組織委員会は準備を本格化させている。大会では注目を集める付加製造(AM)分野も実施予定で、今年の上海大会には日本選手が初出場する。モノづくり大国・日本が世界に技能の魅力を発信する好機を前に両者に意気込みを聞いた。

【写真左】厚生労働省 人材開発統括官付 能力評価担当参事官室 2028年技能五輪国際大会準備室長の大村 倫久氏
【写真右】(一財)2028年技能五輪国際大会日本組織委員会 技術部 技術課 技術係員 池田 佑太氏

――第49回技能五輪国際大会の日本・愛知開催が決まりましたね。

大村(倫久・厚生労働省) 2024年9月、フランス・リヨンで開かれたワールドスキルズインターナショナル(WSI)の総会において、28年11月15日から6日間行われる第49回技能五輪国際大会が日本・愛知県(競技会場:Aichi Sky Expo)で開催することが満場一致で決定しました。日本での開催は、1970年の東京大会、1985年の大阪大会、2007年の静岡大会に続いて4度目。「技能がつなぐ持続可能な未来」を開催テーマとし、産業機械や自動車板金など60職種程の世界トップレベルの技能を持つ選手がしのぎを削ります。

――21年ぶりの日本開催です。国内で開催する意義について教えてください。

大村 国内で人手不足が深刻化するなか、日本の若者が様々な領域の各国のトップレベルの技能の魅力に触れる絶好の場になるものと期待しています。24年のリヨン大会で金メダルを受賞した方の中には、子どもの頃に技能五輪全国大会を観覧して技能競技に憧れを抱き、国際大会に出場された方もいるとお聞きしています。国内の全国大会でそういった連鎖が生まれているわけですから、国際大会ともなれば、その影響力はさらに大きくなるものと考えています。

――出場者以外の一般観覧も可能ということですね。

大村 はい、どなたでもご覧いただけます。選手のご家族や関係企業の方はもちろん、それ以外の方にも、是非、現地でご覧いただきたいと思います。例えば、お子様を連れて「お父さんはこういう仕事をしているんだよ」と伝える場としていただいてもいいかもしれません。また、国際大会に併せて、体験型のイベントなどの併催も検討されています。大人から子供までぜひ多くの方に足を運んでいただきたいと思っています。

――国際交流の場としても活用が期待されます。

大村 国際大会には、各国のトップレベルの選手だけでなく、選手の指導者や企業関係者も日本に訪れます。技能競技を通じた情報交換はもちろん、「日本にはこんなメーカーがある」「こんな技術がある」と世界の人々に日本のことを知ってもらえる機会にもなると思います。また、技能を極めるという同じ志を持つ人たちが世界中から集まるわけですから、BtoBなどの新たなネットワーク作りにもつながることを期待しています。

■AMも競技に

――大会では付加製造(Additive Manufacturing)も実施されます。近年、製造業での注目も高まっている分野ですね。

池田(佑太・2028年技能五輪国際大会日本組織委員会) 付加製造は22年の第46回大会から正式種目に加わりました。医療・航空宇宙・自動車産業など幅広い分野で急速に活用が進んでいることもあり、初回の参加はわずか4カ国・地域でしたが、前回のリヨン大会で9カ国・地域に増え、今年行われる上海大会では12カ国・地域が参加する見込みです。世界的な有力メーカーがグローバルパートナーとしてスポンサードするなど、業界からの注目も高い領域です。国内を見てもAMへの関心が年々高まっていることは承知しており、盛上がりに期待をしています。

――具体的にはどのような競技内容になるのでしょうか。また上海大会、愛知大会それぞれの取り組み状況をお聞かせください。

池田 競技は6つのモジュールで構成されています。金属・樹脂・光造形の3Dプリンターをそれぞれ活用した設計・造形や、コンピューターを使ったトポロジー最適化、3Dスキャナーによるリバースエンジニアリングなど、AMに関わる技能を横断的に問う内容となっています。幅広い知識と技能が求められることもあり、年齢制限が25歳以下と高く設定されています。日本として初参加する上海大会には、豊田自動織機から宮堂頌也さんが出場予定で、現在大会に向けて訓練に励んでいると聞いています。

――愛知大会については選手となれる可能性はまだ残っている。

池田 はい。愛知大会まではまだ2年以上あります。今から本気で取り組んでいただければ、十分に代表を狙える可能性があります。つまり、企業にとっても選手輩出のチャンスがあるということです。また、選手の育成・輩出にとどまらず、機材や製品の提供、スポンサーとしての参画など、企業として大会に関われる形は多岐にわたります。国内にはAM関連の有力企業が多数いらっしゃいますので、ぜひお力添えいただきたいと思っています。ホーム開催というアドバンテージを活かし、チームジャパンとして一体となって機運を高めていければと考えています。

――最後に、大会への期待と読者へのメッセージをお願いします。

大村 この大会を契機として、現場人材のスキル向上と処遇改善につなげる環境づくりが進められるよう取り組んでいきたいと考えます。今冬は、イタリアで冬期オリンピックが開催されましたが、実際にスノーボードをやったことがない方も、選手のすばらしい競技に思わず見入ってしまった方もいらしたと思います。技能競技も同じではないでしょうか。日頃、技能に直接関わりがない方であっても、技能の魅力は伝わるはずです。現在、人手不足が深刻化するなか、技能を尊重する社会づくりに向けて、企業や業界の皆さんとともに、この大会を盛り上げていければと思います。



(日本物流新聞2026年3月10日号掲載)