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グローバル、機械設計屋が『本気』で作った耐震シェルター

投稿日時
2023/08/23 15:07
更新日時
2024/08/19 13:18
護衛門シェルターと小塚社長。横からの飛来物は側面のPET材(鉄板に変更可能)で防ぐ。塗装や壁紙を変えて設置場所の雰囲気に馴染ませることもできる

 日本の製造業、とりわけ自動車業界の生産ラインは高い合理性と安全性で知られる。「乾いた雑巾を絞る」とも例えられるカイゼンでムダを省き、競争力を高めるのだ。グローバル(小塚安代社長TEL.052-651-5084)は、その業界で約30年も生産工程に携わってきた機械設計の専門家集団。知見を活かし、独自の耐震シェルターを開発した。
 「上からのスラスト荷重をフランジ面で受け、ボルトにせん断力をかけません。ボルトも高張力ボルトを採用。アンカーを打つ『足』も、つまずかないよう内向きに収めました」。「護衛門シェルター」の特長を語る小塚氏の口ぶりはまさに機械設計者だ。細部にこだわりが光り、記者の頭には「神は細部に宿る」という格言が思い出される。
 箱形の護衛門シェルターは一見シンプルだが、生産ラインに通ずる合理性を備えている。上部荷重はフランジ面で受け、側面の筋交いで耐久性を確保。震度7で破損せず、200?`の落下物にも耐えると試験で実証された。15人が入れるが、すべての柱が一般的なエレベータの最小規格で運べる寸法のためバラせば高層階にも設置できる。組んだ状態でも2?dトラックの荷台に乗り、工事など必要な時に必要な場所で使うこともできる。
 「仮に設計歴3年と20年の人がシェルターを設計すれば仕上がりはまったく別物」と小塚氏は言う。「自動車会社を相手に長く設計していると、安全思想や合理性が自然と鍛えられます」。ちなみに小塚氏は機械設計歴30年超の現役エンジニアで、防災士の資格も持つ。その結晶が護衛門シェルターというわけだ。

■押入れや風呂をシェルター化

 災害列島とも言われる日本では近年、企業のBCPが急速に進む。有事も生産を継続すべく綿密な計画が練られ、建屋の耐震化にも相当額が投じられている。しかし工場の中で働く人に対しては必ずしもその限りでない。「机の下に潜る」レベルの対策から進歩がないのが実情といえる。
 この状況に対し小塚氏は、施設における避難シェルターの必要性を改めて説く。「設備が無事でも人が傷つけば話にならない。また津波でも、まずは地震による落下物や設備の横滑りから身を守らねば避難もままなりません。片隅にシェルターを置きラジオや食料を備えれば、様々な事態から命を守れます」
 同社は一般家庭にも護衛門シェルターを勧めている。押し入れや風呂をリフォームで「シェルター化」し、頻発する土砂災害からも身を守ろうという提案だ。「護衛門シェルターで1人でも多くの方を危険から守りたい」。そう語る小塚氏の目には力がこもっていた。

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上からの荷重はフランジ面で受ける   

(2023年8月10日号掲載)