出力電流1500Aで厚板溶接脱技能化
ダイヘンは7月1日、厚板溶接向けデジタルサブマージアーク溶接システム「DIGITALAUTOMELT(デジタルオートメルト)」の受注を開始した。
造船や建築・鉄骨、橋梁などで幅広く利用されており、新たな用途では風力発電設備の土台となるモノパイルへの活用も期待されているサブマージアーク溶接。
「デジタル化により熟練技能を必要とせず、再現性の高い厚板溶接が行える。デジタル制御溶接機として世界最大水準の溶接電流出力1500Aで高能率化にも寄与する」(同社)
電流、電圧などの溶接条件を操作ボックスに数値入力して設定が可能。溶接条件を最大100件記憶でき、ノウハウを要さず必要な溶接を再現できる。デジタル機では世界最大レベルの溶接電流1500Aの出力により、溶接パス数を削減、高速溶接が可能で作業工数を大幅にカットできる。また、母材への入熱抑制により強度低下も防ぐ。
新モードの交流定電圧モードを始め、計6種類の溶接モードで高温割れの防止や溶着量、溶け込み深さの調整が行える。ワイヤ消費量や入熱といった溶接情報を収集・記録する溶接管理システム「ウェルディングモニタ」もオプションで近日追加する予定だ。
従来はアークスタート時、丸めたスチールウール等を挟み通電を行っていたが、その方式のほかに、ワイヤ先端を母材に軽く接触させて溶接起動(スチールウールレススタート)が可能になった。
価格は単電極仕様が1090万円、二電極仕様が2010万円(いずれも税抜き)。年間200式の販売を見込む。
「国内の造船分野において当社のサブマージアーク溶接機は大きなシェアを獲得しているが、今回のデジタル化と世界トップレベルの高出力でさらに上の高能率化を果たす」(同社)
(2024年7月10日号掲載)