高圧クーラントからウルトラファインバブル
- 投稿日時
- 2026/04/09 09:00
- 更新日時
- 2026/04/09 09:00
トクピ製作所ら確認
高圧クーラント(HPC)装置を用いた加工工程で、ノズル噴射水中に数億個毎ミリリットル規模のウルトラファインバブル(UFB)が生成されることが確認された。専用のUFB発生装置を用いず、既存の高圧プランジャーポンプと一流体ノズルという一般的な構成で達成した点が注目される。
研究は鳥羽商船高等専門学校の和田任弘客員教授とトクピ製作所(大阪府八尾市)の森合勇介取締役らが実施した。水道水をプランジャーポンプで加圧し、異物通過径0.8㍉メートルの直進型ノズルから噴射。吐出圧力を0.2㍋パスカルと20㍋パスカルで比較し、粒子径50から1000㌨メートルの範囲をナノ粒子解析装置で測定した。
その結果、20㍋パスカル条件ではノズル噴射後の粒子個数濃度が約4億個毎㍉リットルに達した。プランジャーポンプ吐出直後との差分から、ノズル通過による増加分は3億個毎㍉リットル以上と推定される。
HPCは従来、切りくず折断や工具摩耗抑制、深穴加工での切りくず排出性向上など加工能率を高める技術として普及してきた。今回の知見は、高圧加圧とノズル通過時の急激な圧力変動により溶存ガスが微細化し、ナノメートル級の気泡が生成されている可能性を示す。キャビテーション的現象の関与も想定される。
■加工改善に加えUFB副次生成
UFBは洗浄や医療、農業分野で応用研究が進むほか、機械加工分野でもマイクロバブルクーラントによる加工性能向上が報告されている。HPC装置は本来UFB生成を目的としたものではないが、生産性向上を主目的としながら副次的に高濃度UFBを発生させ得ることが明らかになった。
もっとも、測定は水道水を対象としており、切削油剤希釈液での再現性や長時間運転時の安定性、実加工条件下での効果検証が今後の課題となる。加工設備がナノ気泡発生源として機能する可能性が示されたことで、HPCは単なる高圧供給装置から複合機能設備へと再評価される余地がある。
(日本物流新聞2026年3月25日号掲載)