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奈良女子大が新技術、室内熱中症を腕時計で防ぐ

投稿日時
2026/03/04 09:00
更新日時
2026/03/04 09:00

個人の「温冷感」を自動検知

産学連携の創出を目指す「京都ビジネス交流フェア」が2月18、19日の両日、京都パルスプラザで開催され、出展した12大学が最新の研究成果を披露した。なかでも注目を集めたのが、奈良女子大学の久保博子教授が発表した「腕時計型デバイスを用いた温熱制御による室内熱中症予防」の技術だ。人の「暑い」「寒い」という感覚を皮膚温から正確に推定し、エアコンを自動制御することで、個人の体質に合わせた最適な室内環境の実現を目指す。

開発の背景には、深刻化する室内での熱中症問題がある。近年、熱中症による搬送者数は増加傾向にあり、自宅内での死亡例も後を絶たない。特に高齢者の場合、暑さを感じにくいために冷房の使用を控えたり、逆に冷えすぎて体調を崩したりするケースが課題となっていた。こうした「感覚のズレ」を埋めるため、同技術では手首の皮膚温度に着目した。

仕組みの核となるのは、手首内側の動脈を通る血流量の変化だ。手先などの末梢(まっしょう)部は気温変化に敏感で、体温を一定に保とうとする調整反応が顕著に表れる。暑さを感じて体温上昇を防ごうとする際は血流量が増加し、逆に寒さを感じて放熱を防ごうとする際は血流量が減少する。デバイスはこの血流量の変化に伴う皮膚温度と外側の差をリアルタイムでセンシングし、「温冷感」を導き出す。

この技術をエアコンの制御システムと連動させることで、従来の室温設定だけでは難しかったきめ細やかな環境調整が可能になる。例えば、寒さに弱い人や冷えを訴える人に対しては過冷房を防ぎ、適正な温度を維持する。また、自らリモコン操作ができない熱中症の初期段階や睡眠中であっても、デバイスが「暑さ」を検知して自動で冷房を稼働させるため、無自覚な重症化を防ぐ効果も期待できる。

個人の体感に寄り添うこの次世代型制御技術は、介護現場や一般家庭における安全で快適な住環境づくりの新たな切り札となりそうだ。

(日本物流新聞2026年2月25日号掲載)