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防災展レポート、災害時の備え「フェーズフリー」がキーワードに

投稿日時
2025/08/15 09:00
更新日時
2025/08/15 09:00
山善は「我慢をさせない防災家電」をテーマに出展した

7月4日まで4日間開催された自治体/公共団体向け防災展「地域防災EXPO」では、「フェーズフリー」という考え方が各所で見られた。「いつも(平常時)」と「もしも(災害時)」の2つの局面(フェーズ)の垣根を取り払うことを目指し、いつか起こる災害に特別に備えるのではなく、災害時にも活用できるものを普段から使用していくという考え方。

山善は「がまんをさせない防災家電」としてバッテリー家電シリーズ「ELEIN」を提案。共通のリチウムイオンバッテリーを使用できるコードレス家電が特長の同シリーズ。コンセントフリーのため、日常では場所を選ばずに機器を使用できる世界を、災害時には電力インフラが寸断されても家電が活用できる環境を実現する。特に、夏場の避難生活に役立つバッテリー対応のコンパクトクーラーや扇風機など冷房機器に人垣ができた。

アルミ加工を専門とするアルミファクトリー(富山県射水市)は、4月リリースした1台4役のパーテーション「ALCARA(アルカラ)」を披露。「備蓄しない備え」をコンセプトに、パーテーションだけではなく、ホワイトボードやテーブル、ベッドへと簡単に変形できる。既に富山県を中心に引き合いを得ており、同社担当者は「災害時には備蓄品の不足や支援物資の遅れなどによって、体育館の冷たい床に雑魚寝をする状況が未だにある。少しでも安心できる環境を提供できれば」という。

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アルミ部品加工メーカーのアルミファクトリーが開発した1台4役のパーテーション。災害時のベッドにもなる

能登半島地震の際にも注目された移動式トイレ。車載用電子部品を手掛けるクルーズプランニング(福島県いわき市)が開発した「MobiRest(モビレスト)」も石川県穴水町で活用された。「行きたくなるトイレ」をコンセプトに、女性や子どもでも安心して使用できるトイレを目指した。排泄物を1回ごとにラップ(個包装)して室外に排出する仕組みのため、臭いが残りにくく衛生的。同社担当者は「一般的なトイレと使い方はほぼ変わらないが、屋外のイベントなどで日常から活用いただくことで、災害時によりスムーズに使用いただける」とする。

被災時もいつものように過ごせる未来が近づいてきている。

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クルーズプランニングが開発した移動式トイレ「MobiRest」は軽トラックや普通自動車で搬送することができる。上下水道が必要ないため、設置したらすぐに使えるメリットも



(日本物流新聞2025年8月10日号掲載)