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トヨタ・コニック・プロ 「買い物と移動」を再統合

投稿日時
2026/10/01 10:33
更新日時
2026/10/01 10:35
モジュール式移動スーパー車両「いちばキャビン」を説明する林範人セクターリーダー。

トヨタグループのモビリティー力を活用

トヨタ・コニック・プロは、トヨタグループのモビリティー力を活かし、移動スーパー、買い物送迎、買い物宅配を連携させた「生活サービスの再統合」を目指している。小売店の撤退縮小(買い物難民の増加)と公共交通の路線縮小(交通空白地の拡大)が招くコミュニティーの弱体化・地域経済の衰退という負の連鎖を断ち切れるか。「フードストア ソリューションズ フェア2026」(9月9日・10日、インテックス大阪)に出展した同社を取材した。

同社「このまち市場セクター」の林範人セクターリーダーは、「地域共創とモビリティーを掛け合わせ、持続可能な事業モデルを生み出していきたい。最大の課題は、『買い物』と『移動』という本来密接不可分な行為が行政の縦割りや業界の壁で分断されている点にある。生活者の視点に立ち、両者を一体で再統合していく」と語る。

地元スーパーなど地域事業者が主体となり、行政や住民と連携して展開するパッケージソリューションだ。移動スーパーの運用、買い物送迎の最適化、将来的な無人配送ロボットの導入までを包含し、シニア層や女性の就労機会創出など地域雇用の振興にもつなげる仕組みとなっている。

同構想の移動販売を担うのが、モジュール式移動スーパー車両「いちばキャビン」だ。「ハイゼット トラック」や「ピクシス トラック」といった軽トラックをベースに、車両・電源・コンテナ・冷凍機を独立させた構造を採用する。最大の技術的特徴は、デンソーが開発した小型モバイル冷凍機「D︱mobico」を搭載している点だ。外部バッテリー等で駆動し、マイナス20度からプラス20度までの精密な温度管理に対応する。従来のエンジン直結式と異なり停車中もアイドリング不要で冷やせるため、燃料消費量を削減できる。また「故障時も冷凍機ユニットを交換するだけで即座に稼働を維持でき、車両自体の整備も地域の整備工場やトヨタディーラーで対応可能なため、運用のハードルを大幅に下げられる」(林氏)。

一方、買い物客の移動手段そのものを創出する送迎サービス「このまち∞ループ」では、トヨタ「ハイエース バン ウェルジョイン」を活用する。従来の送迎サービスは乗客から運賃を徴収するため、緑ナンバー(事業用)の取得や二種免許の保有が必要となり、運営コストの高さが導入の大きな障壁となっていた。

■UIは電話、無料送迎でスーパー売上防衛

これに対し、「運賃無料」で運行するビジネスモデルを提示した。「運賃を一切取らず、白ナンバーかつ普通免許で運用することで制度的・コスト的な参入障壁を下げる。事業の運行収益は、送迎した顧客にスーパーで1週間分をまとめ買いしてもらい、その売上増で回収する仕組みだ。公共交通の縮小や高齢者の免許返納に伴う顧客離脱に悩むスーパーにとって、既存顧客を防衛し売上を維持・拡大する手だてとなる」(林氏)。

この巡回モデルを持続可能にする鍵は「固定客の囲い込み」と精度の高い収支管理だ。1週間あたりの利用人数や買上単価、利益率を綿密に管理し、乗車予約や送迎ルート設定などの複雑な業務は裏方のデジタルシステムが処理する。これによりスーパー側は、顧客との丁寧なコミュニケーションや関係構築による「固定客化」に集中できる。さらに空き枠が発生した場合は、新規顧客とマッチングし、最適な走行ルートを設計して稼働率向上と新規アプローチを両立する。

また、利用者のUI(ユーザーインターフェース)に「電話」を残している点も現場目線の配慮だ。「システム構築の観点からはモバイル完結が低コストだが、現在の主な利用者層である高齢者が最も使い慣れているのは電話。事業者が現場にスムーズに実装できるよう、まずは電話対応を中心に据えた」(林氏)。同社は2027年春の本格サービス開始を目指しており、将来的にはこの巡回ルートに貨客混載を組み込み、店舗からの宅配やラストワンマイルの物流ニーズにも応えていく考えだ。 



(日本物流新聞2026年9月25日号掲載)