巴山建設、現場に合った熱中症対策実施
- 投稿日時
- 2025/08/25 14:34
- 更新日時
- 2025/08/25 14:36

「コミュニケーションが最大の対策」
【建設・土木業、東京都調布市】
6月から義務化された熱中症対策に対し、地域密着型の建設会社が知恵と工夫で挑んでいる。東京都調布市の巴山建設は、現場ごとに最適化した対策を実施。制度対応の枠にとどまらず、現場目線に基づく独自の対策を積み上げている。
武蔵村山市内を流れる空堀川の河川改修現場では、冷房完備の詰所に加え、WBGT値(暑さ指数)の測定器やポスターによる「見える化」を徹底。ファン付きウェアや水冷服の活用はもちろん、経口補水液などの各種飲料を備蓄した冷蔵庫、かき氷製造機など、即時の冷却・補給体制を整える。同社は現場での女性活躍も推進しており、冷房を完備した女性用休憩室や日焼け止めなども用意する。
巴山建設の皆さん(左から内山課長、木下さん、溝口さん、的場部長)と暑さ指数などが明示された安全掲示板
現場改善を主導する土木部安全環境課課長の内山佳祐さんは「熱中症関連の展示会などには足を運び、常に最新製品の情報をキャッチアップするようにしています」とコメント。良さそうなものは社内に展開し、現場社員の反応を見て積極的に導入しているという。
一方で、最新のツールを用意したからといって熱中症の危険を防げるわけではない。現場管理する土木部工事部長の的場哲也さんは今夏について「普通に作業していたら熱中症になる暑さ」とし、先手先手で体調の変化に気付ける現場作りが重要になるとの認識を示す。
「よくしゃべる人ほど、きつい時はきついと言うので、熱中症にかかる前に対策が打てます。黙々と真面目に作業をする職人さんは危ない。巡回の時にひとりひとりに声を掛けながら顔色を確認したり、日頃から話しやすい現場作りを心掛けています」
制度やツール頼りの対策では、従業員を守り切れない暑さとなっている。「コミュニケーションこそ最大の対策」と位置付ける同社の姿勢は、現場に根差した安全管理の原点を映し出している。
(日本物流新聞2025年8月25日号掲載)