ロブテックス、エアーリベッターの「名機」進化して復活へ
- 投稿日時
- 2026/04/03 09:00
- 更新日時
- 2026/04/03 09:00
帰ってきたロングセラー商品R1A1PL
ロブテックスが一度は終売とした名機を改良し、異例の「復活」を遂げさせた。昨年秋発売のエアーリベッター「R1A1PL(プラス)」だ。次世代機への移行に伴い旧モデルを終売としたが、自社でオーバーホールを行いたい現場ユーザーの声を受け、保守のしやすさを追求して構造を刷新。名称の“プラス”が示す進化のポイントと開発背景を、同社ファスニング事業部の営業・開発両担当者に聞いた。
「R1A1は、名前だけで売れる製品。ファスニング製品は本来ネットでは売れにくい。それほど定番製品として認知されているんです」。ファスニング営業チーム担当責任者の石井大介氏は、実感を込めてそう語る。
十数年以上にわたり現場を支え続けたエアーリベッター「R1A1」は、高い普及率を誇る定番だった。同社は2024年、10年超ぶりとなるフルモデルチェンジを敢行。メンテナンス頻度をできる限り抑え、日常点検を工具なしで可能にした次世代機「R2A1」を投入した。これに伴い、設計思想の異なる従来機はラインナップから外れることとなった。
市場からは思わぬ反応もあった。「終売のアナウンスをした途端、駆け込み需要が発生しました。最後は何度も増産、増産を繰り返したほど。それだけ現場の『声』が多かったんです」と石井氏は振り返る。
特に自社に保全部門を持つ大手メーカーは、メーカーに修理を委ねる利便性だけでなく、自らオーバーホールできる「自力保守」に重きを置く。不具合が生じた際、シンプル構造のR1A1は部品1つから分解・交換して即座に復旧できる。保守の知見に長けた現場ではこの点が支持されていた。現場の声を受け、同社はR1A1のリバイバル販売を決めた。
復活にあたり名称に「PL(プラス)」を加えた背景には、単なる復刻ではない機能向上の意図がある。商品開発チーム平井祐未主任は、R1A1の基本設計を維持しつつ現場の課題を洗い出した。
象徴的な改良がマンドレル(リベットの芯)の回収機構だ。従来は内部のシャッターが開閉し、マンドレルの飛び出しを防いでいたが、打鋲で発生するメッキの剥がれやゴミが作動不良の一因となっていた。
「シャッター部は分解後の組み付けにコツが必要で、不慣れだとトラブルの元になる。私も何回も教えてもらったんですけど、なかなかややこしいんです」と石井氏は笑いながら明かす。
そこで平井氏は内部のシャッター機構を廃止、外付けの「マンドレルガード」へ構造を刷新した。「そもそも動かない構造にしたので故障リスクが低い。部品点数も12点から6点へ半減させています」
分解時に紛失しがちだった小さなOリングは、サイズを大きくして落下・紛失しにくい構造に改良。ボディの一部もダイカストから高強度の切削部品に変えた。「同じアルミでも強度が全然違う」という平井氏の言葉通り、落下の衝撃にも耐える堅牢性を確保した。

従来のR1A1の内部構造(左)とR1A1PLの内部構造(右)。部品点数が半減している
記者が「私もメンテナンスできますか」と問うと、平井氏は「できます!」と即答。石井氏も「R1A1PLなら“私も”簡単にメンテナンスできますから。営業としても、現場ですぐ対応できるのは本当に楽なんです」と実用性を強調する。
外装もこれまでの工具の常識から一歩踏み出した。同社の象徴である「赤」ではなく、落ち着いたブルーグレーの「くすみカラー」を採用。「現場になじむ色合いを考えました」と平井氏は語る。石井氏は「最初は色の反応がどうか、正直不安だった」と本音を明かすが、蓋を開けてみれば市場の反応は極めて良好だった。「反応はめちゃくちゃ良いんです。他にない色ですし、金属が多い工場ではスッと馴染む」と石井氏の顔も明るい。
こうした意思決定を支えたのが、営業と開発が同じフロアで机を並べる1年半前に設立されたファスニング事業部の体制だ。以前は別棟だった両部門が「おーい」「はーい」と気軽にやり取りできる距離になり、現場感覚を即座に設計に共有できるようになった。この体制がスピーディなリバイバル発売を後押しした。
■高まる自動リベッティング需要
R1A1PLは、同社が注力するロボットを用いた「オートリベッティングシステム」においても重要な役割を担う。「リベッティングは自動化できることを知らない人がまだ多い。ニッチな作業で人手のイメージが強いからでしょう。ただ現在、遅れていた自動化需要が一気に来ているんです」と石井氏は話す。
ここで活きるのが、近日発売予定の「シュートホース仕様」への交換キットだ。従来、マンドレルを自動排出するシュートホース仕様は特注品で、都度見積もりのため提案しにくい側面があった。しかしR1A1PLのシンプル構造を活かし、ユーザー自身が工具1本で換装できるキットを製品化した。

カメラを取り付けティーチングを不要にしたオートリベッティングシステム
ロブテックスは現在、SIerと協力体制を築き、大規模な全自動システムから、ロボットがフィーダーへリベットを“取りに行く”簡易型まで、幅広い自動化を展開している。カメラでティーチングを不要にするなど、使い勝手も向上させた。
「タクトタイムを重視する現場なら、4秒に1本を打つ全自動ユニット。逆にコストを抑えたい現場には別の提案がある。自動化といっても現場ごとに最適な形は異なるんです」(石井氏)。
高度な耐久性を備え、日常点検の負担を下げた次世代機R2A1。ユーザーの保全マインドに応え、シンプルさを磨いたR1A1PL。2つの異なる設計思想を揃えることで、同社は多様化する製造現場の締結ニーズに応えようとしている。
(日本物流新聞2026年3月25日号掲載)