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ルポ:白山機工~ 多様な切粉に専用設計で挑むチップコンベヤメーカー

投稿日時
2026/04/08 15:53
更新日時
2026/04/08 15:57
オールマイティに幅広い切粉を処理できるドラムフィルター内蔵型二段式チップコンベヤ

“出たとこ勝負”を一品一様の設計で制す

白山機工(石川県白山市)のルーツは1963年、意外にも自動車板金業から始まった。「凹んだ車のボディを直す、いわゆる修理工場だったんです」と、アキタ板金工業時代を穐田健次社長は振り返る。その技術はやがて工作機械のカバー製作へ進化したが、最大の転機はチップコンベヤへの参入だった。

80年代当時、製造業で工場の24時間操業を目指す動きが加速していた。華々しい自動化が関心を集める中、課題となったのが切粉処理だ。油にまみれた不定形の切粉をどうするか。これを解決したのが切粉を自動搬送するチップコンベヤだ。開発担当の内藤昌則氏は「自動化の波に乗った」と述懐する。現在もチップコンベヤと切削油をろ過・循環させるクーラントユニットが同社の主力だ。

同社は標準品の量産ではなく一品一様のカスタマイズを得意とする。削る材料や加工方法が変わればコンベヤの形状もタンク容量も変わる。さらに空間的な制約も極めてシビアだ。「機械本体の仕様が先に決まり、コンベヤは『この隙間になんとか押し込んでくれ』と言われるのが基本」と内藤氏はさらりと話す。

そもそも切粉は被削材の材質や加工条件で形状が千差万別だ。特に困難なのが、納入まで「どんな切粉が出るか」が不透明なケース。例えば長い切粉用のヒンジコンベヤに細かい切粉を流すと隙間からこぼれ、逆に細かい切粉用で長いものを運べば内部で絡まり故障する。「ユーザーも新しい加工に挑戦するので、切粉は事前には分からず『出たとこ勝負』の側面がある」(内藤氏)。一般的な工業製品とは違った難しさがあるのだ。

こうした不確定要素に対し、同社は多数のメーカーとの取引で蓄積したトラブル経験を武器にする。「様々な問題に直面してきたからこそ情報を設計に盛り込める。改善の積み重ねがどう使われてもトラブルの少ない製品を生む」と穐田社長は語る。

■色んな切粉を1台で

同社が「万能」と語るのが、1998年に開発された「ドラムフィルター内蔵型二段式チップコンベヤ」だ。

開発は約30年前、自動車業界で被削材が鉄からアルミへ切り替わった時期に遡る。比重が軽く浮いてしまうアルミ切粉は従来装置では処理しにくい。そこで同社はコンベヤにろ過用の「ドラムフィルター」を内蔵。これを一次ろ過(荒取)装置として機能させ、高精度な二次ろ過装置へ送るという現在のトレンドに乗った。

ここへさらに性質の異なる2つのコンベヤをドッキング。長い切粉を乗せて運ぶヒンジ式と、細かい切粉を掻き上げるスクレーパー式を二段構造にして、切粉の形状・材質を問わず1台での対応を可能にしたのだ。

競合メーカーも同様の装置を製作するが、多くは標準化を優先。対して同社は一機種ごとの個別対応を厭わない。「一機種ずつ仕様を考えるのは、やはり非常にめんどくさい(笑)。でも、そこを一生懸命やることが当社の強みです」と穐田社長は笑う。

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右から穐田健次社長、開発担当 内藤昌則氏




Profile


1963年創業 石川県白山市

チップコンベヤの国内大手で、これと切削油をろ過・供給するクーラントユニットを主力とする。板金技術を活かした工作機械のカバー製作や、宅配ボックスの製造販売も行う。現在、本社工場の敷地内に第三工場を建設中。今まで一品一様のシステムを中心としてきた同社だが、新工場では効率を高めた標準品の量産にも対応できる体制を整え、シェアの拡大を図る構えだ。



(日本物流新聞2026年3月25日号掲載)