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ピカコーポレイション、昇降台最大8台を無線操作で集中制御へ

投稿日時
2025/11/28 10:57
更新日時
2025/11/28 10:58

(株)ピカコーポレイション

無線仕様集中コントローラー「HLA-MC」を使った作業の様子

ダクト・トラス設置などの省人化に

ピカコーポレイションが開発した「可搬式荷物用昇降台HLA-ADC」用の無線仕様集中コントローラー「HLA-MC」が注目を集めている。最大8台までの昇降台を無線で同時操作できる仕様で、イベント会場や工場で長尺物などの設置を効率化する。

同社はこれまで、有線仕様の集中コントローラー「HLA-CC1」を展開してきたが、使用現場によっては「コードの取り回しが煩雑」「コードの設置に時間をかけたくない」との声が寄せられていた。こうした課題を受け、同社が新たに投入したのが無線仕様のHLA-MCだ。電波到達範囲は無障害状態で約100㍍と広く、多くの現場環境で安定した通信が可能。送信機には番号選択ボタンが設けられ、対応する昇降台の回転灯が点灯して動作対象を識別できるなど、直感的な操作性にも配慮した。

有線仕様コントローラーが約7キロだったのに対し、約300㌘とコントローラーを大幅に軽量化。後付け用の受信機を既存のHLA-ADC機に装着するだけで使用できる設計も特長だ。新たに昇降台を買い替えずに無線仕様にできる点が、現場の利便性を高めており、用途に合わせて有線・無線を選択できる柔軟性を備える。

開発にあたっては、複数台を同時に制御するための無線干渉対策に苦労したという。昇降作業台開発チームの安藤敬氏は「クレーンなどでは一対一の無線制御が主流でしたが、最大8台を同時に動かす発想は前例が少なかった。HLA-ADC型の本体に受信機を後付けできる設計にこだわり、リレー制御を駆使して混信を防ぐ仕組みもつくり上げました」と振り返る。必要に応じて一台ごとの微調整も可能で、昇降高さを揃えたい時も柔軟に対応できる。

無線仕様は、現場作業の省人化と安全性向上にもつながる。従来、イベント業者が装飾トラスを設置する際には、4台の手動昇降台を4人で操作し、掛け声を合わせながらウインチを回す必要があった。無線仕様コントローラーを使えば、少人数での設置作業が可能となり、作業者は昇降台から離れて操作できるため、万が一の落下時も安全性を確保できる。

同社は2020年に屋内用電動リフト「HLA-ADC」シリーズを発売。最大リフト高さ3.01mから7.37mまで4機種を展開しており、荷揚げや運搬の省力化に貢献している。

梯子(はしご)や脚立メーカーとして培ってきた技術開発に加え、昇降作業台を自社で開発・製造していることを独自のブランディングに位置付けている。「昇降作業台という独自の開発に加え、今回は無線技術という新たなノウハウを得ました。この技術を昇降以外の分野にも横展開できないかと考えています。昇降ジャンルの遠隔操作の可能性を追求していきます」(安藤氏)

「あくまで構想ですが、遠隔操作が可能な昇降作業台を使い、複雑な作業を自動化できる可能性があると考えています。AGV(無人搬送車)などによる横移動の技術はありますが、これははしご・脚立メーカー発信の縦移動のプラットフォームになり得るものです。そういうエンジニアの夢が広がるような基礎技術になると考えています」と、安藤氏は目を輝かせた。

(日本物流新聞20251125日号掲載)