施工現場で進むロボ活用、省力化ツールにも熱視線
- 投稿日時
- 2025/12/12 10:00
- 更新日時
- 2025/12/12 10:00
11月、大手ゼネコン各社が参加し、建設ロボットの開発と活用を進めている任意団体「建設RXコンソーシアム」主催の展示会「建設RXコンソーシアム Exhibition2025」が都内で開催された。協力会員を含め300社を超える会員企業の中から、現場の省力化に役立つソリューションを持つ企業が数多く出展した。
やはり注目を集めたのはロボットだ。同団体では様々なロボットの活用の形が模索されているが、会場には自律搬送台車に様々な機能を付加したものが並んだ。中でも関心を集めていたのが、自動で墨出しを行うロボット。墨出しロボット分科会で検討・開発されたSUMIDAS(竹中工務店、レンタルのニッケン、未来機械)とSumiROBO(日立チャネルソリューションズ、西尾レントオール)、ロボプリン(鹿島建設、ROBOSHIN)が一堂に会し、来場者は各ロボットの強みに耳を傾けた。
様々な建設ロボットがある中で墨出しロボットに関心があつまる理由について、SUMIDASを開発した竹中工務店の担当者は「墨出し作業は様々な現場・工程で必要になるため」と話す。壁や柱、建具だけでなく照明や空調設備を正確に設置するのに必要になる作業だが、従来はそれぞれの担当者が二人一組、全て手作業で行っていた。墨出しロボットは図面さえあれば自動で作業が完了するため、夜中稼働させて日中は人が施工作業に集中するといった使い方で、現場導入が最も進んでいる建設ロボットの一つとなっている。
展示会などで見かける機会が増えてきた建ロボテックが開発した鉄筋結束ロボット「鉄筋結束トモロボ」にも人だかりができた。他のメーカーからも鉄筋結束ロボットの提案がなされるなど市場的にも盛り上がりを見せつつある。トモロボは複雑なシステム構築なしで、市販の鉄筋結束機をセットするだけで現場投入できる点に特徴がある。同様のニーズは国外にもあると、海外展開にも取り組んでいる。同社担当者は「いわゆるヒューマノイドなどが海外だと注目を集めているが、意外とこうしたソリューションはあまりない。一方で、現場の困り事は日本と同じであるため、関心をいただいている」と良好な感触を得ているという。会場ではラインナップにくわえた500キロ以上の資材を鉄筋上や屋外、不整地で安全安価に運搬する「運搬トモロボ」もPRした。

建ロボテックが開発した鉄筋結束ロボット「鉄筋結束トモロボ」
■土間打ち関連の省力化機器も
同団体所属会員が開発した製品が海を渡るケースは他にもある。建材・建機の販売やレンタルを行うDXマテリアルが開発したコンクリートかっぱぎ機「KAPPER(カッパー)」は、土間打ち時の荒均し作業用の助力装置。これまでグラウンドの整備時に使うトンボのようなツールを使って大勢の人手をかけて行っていた作業を、高効率、軽負担化できることから国内外で注目を集めつつある。世界でもかっぱぎ工程の機械化は進むが、大型な製品が多く使用できる現場が限れていた。カッパーはコンパクトながら1台で約三人分のアシスト力を持つため、外構や土木、倉庫など様々な現場に対応できる。バッテリー式で、配線などを考慮することなく使用できる点も評価が高い。「かっぱぎ工程はコンクリート打設作業の中でも特に重労働で、腰痛やヘルニアなど労災の危険もある。カッパーは腰をかがめずに作業ができるため現場負担を軽減できる」(同社担当者)

DXマテリアルが開発したコンクリートかっぱぎ機「KAPPER(カッパー)」
肉体作業が中心となる土間関連の省力化ソリューションへの関心は高い。造園や外交工事を主に手掛けるF︱tecが開発した「コロコロドマ~」も、土間打ちの仕上げ作業の省力化装置。仕上げ工程は見た目に関わる部分のため、特に技術力が求められる。対応できる職人が限られているという自社の現場の悩みもあり開発に至った。特に機械化が難しく手作業中心となっている狭い場所でも使用できるよう、小回りが利くサイズに仕上げた。マシンの自重(25㌔)で上から抑えながら地面を圧接するため、高密度で耐久性の高い施工を作業者に依存せずに提供できる。「施工スピードも人の作業の半分程度ででき、現場の省力化にも対応できる」という。
建設RXコンソーシアムを中心に、建設現場向けの省力化ツールがこの数年で急速に整いつつある。こうした製品は日々アップデートもされている。いま70%しか機能しなくても来年には90%機能するようになる可能性もある。更なる現場効率化を推し進めるためにも、積極的に現場投入し業界を継続的に盛上げていくことも重要となりそうだ。
(日本物流新聞2025年12月10日号掲載)