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食品の運搬・盛付けの自動化へ

投稿日時
2025/10/20 09:00
更新日時
2025/10/20 09:00
豆腐を掴むFingerVisionの視触覚センサー内蔵ハンド

サービスや研究 着々と

食品の運搬や盛付けをロボットで直に行うのは難しい。対象物のサイズ・形状が一定でなかったり、強い力をかけられず、取扱商品が短時間で切り替わったりするためだ。そこに「ド直球で勝負を挑む」のはロボットSIerでありハンドメーカーでもあるFingerVisionだ。同社の強みは「視触覚センサー」をもつこと。ハンド先端の透明な部分にある無数の黒いドットがモノを掴んだ時に変形・移動するのをカメラで捉え、滑りや力の分布を認識する。システム導入のハードルを低くしようと同社は今年6月、RaaSRobot as a Service)と呼ぶプランを始めた。おかず盛付とフライ投入の2種類のロボットシステムを対象とし、月額25万円から利用できる。原則として保守・サポート・消耗品費用を含み、ロボットの買取りオプションも用意する。濃野友紀社長は「ハンドやパラメーターを変えるなどして、取り扱う商品が変わっても使えるよう必要なサービスを全部込み込みで提供する」と言う。

食品を掴むロボットグリッパーの性能を評価できないか——。近畿大学工学部機械工学科講師の松野孝博氏はグリッパーを評価するために食品そっくりなサンプルをつくった。92日、都内で開かれた第43回日本ロボット学会学術講演会の一般向けオープンフォーラムで発表した。3Dプリンターでつくったこの食品サンプルはピック&プレースを想定した比較的固いものと柔らかいもので、形状や粘性といった食品特有の物理特性を再現。加速度センサーや空気圧センサーを内蔵し、動きや把持力が小さくてもサンプルにかかる力の大きさをリアルタイムで見られることを確認した。松野氏は「サンプルの取扱いの成功・失敗時の力のかかり方をロボットシステムに覚え込ませればグリッパーの良し悪しが評価できる」と言う。今後の課題として「サンプルのピック&プレースで○%の成功率なら、実際の食品で△%以上の成功率が見込める、といった評価結果の保証ができれば」と考える。

食品の運搬・盛付けの自動化へ・サービスや研究着々とP2近畿大学工学部の松野孝博.jpg

近畿大学工学部の松野孝博氏(東京・目黒区の東京工業大学大岡山キャンパスで)

(日本物流新聞20251010日号掲載)