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ニデックG、工作機械4社のテクニカルセンター開所

投稿日時
2026/02/25 15:17
更新日時
2026/02/25 16:40
歯車ソリューションが一堂に会すテクニカルセンター

M&Aではなく「連携深化」で強い会社へ

ニデックは、機械事業本部傘下の工作機械事業会社であるニデックマシンツール、ニデックオーケーケー、PAMA、TAKISAWAの4社が共同で運営する新施設「テクニカルセンター」(滋賀県栗東市)を2月5日に開所した。西本達也ニデック機械事業本部長と二井谷春彦ニデックマシンツール・オーケーケー社長が本紙の個別取材に応じ、M&Aに対する市場の目が厳しい中でも、グループ内の連携強化によって強い会社づくりを進める方針を語った。

新テクニカルセンターは、4社が保有する各種工作機械約30台と関連技術を一堂に集めた総合技術拠点である。最新鋭機の展示にとどまらず、実機による加工検証、量産立ち上げ支援、工程最適化、人材育成などを実施し、顧客の課題解決をともに考える「共創型技術拠点」と位置づける。

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二井谷春彦ニデックマシンツール/オーケーケー社長

二井谷社長は、「ホブ盤から研削盤まで歯車加工機をトータルでそろえるメーカーは世界に3社しかない。これらを一堂に展示するのは当社が初ではないか」と述べ、「このセンターを起点に頭一つ抜けたい」と意欲を示した。さらに、「オーケーケーのグラインディングセンタを常設展示するのは初めて。マシニングセンタでセラミックや石英ガラスなどの脆弱素材の実加工を見せられるのは大きな価値がある」

記者会見が行われ、以下のように幹部が語った。

「30台を展示するが、単なるショールームではない。すべて稼働可能な状態で、各社から派遣された技術者が常駐し、顧客の要望に応じてその場でサンプル加工ができる体制を整えた」と説明する。例えば、TAKISAWAの旋盤とニデックマシンツールの歯車加工機を組み合わせた加工検証など、複数社の技術を横断した相談にも即応できる点が最大の特徴だ。加工テストや試作を通じて理論や構想を実機で検証し、顧客の課題に対しては加工方法の見直しから設備構成、自動化まで含めた最適工程を提案する。さらに、ユーザー企業、販売代理店の新入社員や技術者育成のためのトレーニング機能も担う。

4社のシナジーはすでに成果として表れているという。二井谷社長は「有望市場である中国では4社のクロスセル(相互販売)を本格化させた結果、ニデックマシンツールの売上は旧三菱重工工作機械時代と比べて約2倍に伸長した」と強調する。また、PAMAの大型機のサービスをニデックマシンツールが引き受ける体制を整えたことで、国内での引き合いが急増しているという。

同氏は「最終的には設計・生産面でもシナジーを発揮したい」とし、会社や国境を越えた設計リソースの統合、PAMAのモジュラーシステムの導入、さらには中国・台湾・日本のアジア生産拠点を活用した調達最適化や、中国での現地生産拡大も視野に入れる。と語った。

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西本達也ニデック機械事業本部長

西本氏は「6年がかりで開設を進め、並行してM&Aを実施したことで、ようやくワンユニットとして機能する体制が整った。感無量だ」と振り返る。そのうえで、「今後は工作機械4社のシナジーを高めることに集中する。加えて、プレス機事業やモーター事業との連携を加速させる」と強調した。特にプレス機との連携については、「これまで十分に打ち出してこなかったが、海外顧客の増加を踏まえると相乗効果は大きい」と判断したという。

また西本氏は、中国のヒューマノイド関連メーカーの約7割に減速機を供給していると明かし、「シェア拡大そのものより、市場拡大に期待している。コストダウンと精度向上を両立させる」とした。かつて掲げた「2029年に工作機械トップメーカーへ」との目標については、「いまはその表現を前面に出す時期ではない。まずは襟元を正し、M&Aに頼らず、連携とシナジーで強い会社にしていく」と述べた。

「我々はまだインコンプリート(未完成)だ」と率直に語る。「旋盤、マシニングセンタ、大型五面加工機、横中ぐり盤、歯車工作機械はそろっている。しかし、旋盤のバリエーションもマシニングセンタのラインアップも十分とは言えない。あらゆる分野を完全に網羅する総合工作機械メーカーは、いまだ存在しない。ゆえに、ニデックグループとしてワンストップでソリューションを提供できる体制を構築することが最終目標であることは間違いない」。

一方で、西本氏は自動車産業の低迷を背景に、欧州の工作機械メーカーから複数の打診が来ていることを認めつつも、「現時点で積極的にM&Aを進める状況にはない」との考えを示した。さらに「禊(みそぎ)」という言葉を象徴的に用い、テクニカルセンターを核にした既存4社の連携強化こそが、信頼回復への第一歩であるとの認識を示した。

同センターが立地するニデックマシンツール滋賀工場には、減速機の試作工場が併設されており、さらに4月稼働予定の高精度高速プレス機の新工場でもニデックの工作機械が多数導入される予定だ。これにより同工場は、工作機械・プレス機・減速機の3事業が一体で機能する中核拠点となる。まずはこの滋賀拠点を起点に、グループ内連携を深化させ、事業基盤の「要塞化」を進める構えだ。

展示エリアには、旋盤、歯車工作機械、マシニングセンタ、大型工作機械、金属3Dプリンタまでを網羅的に配置。検査室には寸法測定用ゲージに加え、歯形・歯すじ・ピッチ精度を評価できる歯車測定器を完備し、テストカットの精度をその場で即時確認できる体制を整えた。これにより、定量データに基づく加工精度の検証と品質向上を支援する。

また、保全教育エリアでは基本構造やメンテナンスの要点を実機で学べる設備を整備。プレゼンエリアやホールも備え、顧客向け技術説明や人材育成の拠点としても機能する。なお、テクニカルセンター長は北川智子氏。



(日本物流新聞2026年2月25日号掲載)