5軸MCの性能を最大化、自動ワーク交換にも対応
国内屈指のツーリングメーカー・MSTコーポレーションが5軸マシニングセンタの加工性能を最大限に引き出すために開発したワーク取付治具が「スマートグリップ」だ。
ワンチャッキングで多方向から加工する5軸機は、一般的にワークのつかみ代が大きく、それによって加工できない領域が多い。だがスマートグリップはワークの1面をダブテール(アリ溝)加工し、この小さな加工部分を2面拘束することで、強力な把持力を確保する。
テーブルに固定されるヘッドや脱着部とワークの固定部は一体構造のワークホルダで構成。ヘッドとワークホルダのインターフェースは国際標準規格「HSK」を採用。さまざまな方向から加工しやすいコンパクトな形状でありながら、高剛性で安定した加工を実現する。加えて位置決め精度にも優れており、熟練者による芯出し作業も不要。ワークホルダの交換もレンチひとつで簡単に行える。外段取りとして、あらかじめワークをワークホルダにセットしておけば、すぐに次の加工を開始できる。
「自動化を見据えて油圧クランプ式のオートヘッドを採用しています。ワークをつかんだワークホルダごとロボットでスムーズに自動交換できるので、加工機とロボットを組合せた自動化システムの構築が可能です。また当社ではワークストッカーやロボットハンド、制御ユニットといった周辺機器を用意していますので、ワーク交換の自動化をお考えの現場に最適なご提案が出来ます」(同社)
昨今の素材価格急騰にもスマートグリップの把持力が生きる。つかみ代が少ないゆえ、5軸MCによるの側面加工においても干渉がなく、ホルダと工具の突出しを最短に設定できる、安定した高精度加工を可能にするため、高価なワーク素材の加工にも有効だ。
(2022年8月25日掲載)