9月13日からの4日間、東京ビッグサイトで開催され6万人を超える来場者で賑わった「国際物流総合展2022」。前号に続き、注目を集めた展示を振り返る。
全体的に盛況を博した今回展だが、さすがに人垣でで近づけないのはここだけではないか。そう感じたのは知能ロボットコントローラーを提供するMujinのブース。今回展では出荷や梱包ラインを模した4つのソリューションを披露し、ロボットやAGV、コンベヤなど周辺機器までを「Mujinコントローラー」で統括。すべてをシームレスに動かして見せた。
見どころは初披露の混載ケースの積み付けラインだ。コンベヤで流れてきた様々な種類の段ボールをロボットが次々掴み、台の上に広げるように置いていく。ロボットの不思議な行動の意図をはかりかねていると、マーケティング&コミュニケーション部の石原優月部長が説明してくれた。「ロボットが箱を散らかしているみたいで驚きますよね。実はこれ、ロボット単体で順立てとパレタイズを行っているんです」。
従来、様々な種類の混ざったケースをロボットでパレタイズするには、シャトルシステムなどの順立て設備を別途設置する必要があった。しかし今回展示したパレタイズロボットには自動順立て機能を搭載。流れてきたワークを一度台に広げ、積み付け計算を自動で行うことでロボット単体での順立てとパレタイズを可能にしている。
「これはあくまで提案の一つの形ですが…」と石原部長。「何が流れてくるかわからない状況でリアルタイムに積み付け順を計算し、自動でパレタイズできるのはモーションプランニングを得意とする我々ならでは」。同社は他にも複数の自動ラインを披露。レンゴーと連携したEC向け梱包ラインでは、順立てなしで流れる高さの異なる段ボールをカゴ車に自動で積み付けるデモも見せた。
一方、今回展では海外メーカーのGTP(定点ピッキング)も目立った。フランスに本社を置くEXOTECの日本法人 EXOTEC NIHONはピッキングシステム「Skypod」を披露。同製品はインテグレータ?パートナーであるIHI物流産業システムとオークラ輸送機のブースでも展示され、目にする機会も多かったはずだ。ブースでは搬送ロボット群がラックの内外を三次元的かつ高速で走行し、ケースをステーションへ搬送するデモを見せた。
今回展で国内初披露されたのが多関節ロボットによるピッキングシステム「Skypicker」だ。自社開発の3Dビジョンで対象物を検知し自動でピッキングを行うもの。「Skypickerは100%の自動ピッキングは目指しません。ソフトウェアにAIを搭載しており、学習の結果、ロボットアームで掴めないものは人が待つピッキングステーションに送るなど、システム全体の効率を重視します」(同社)という。
EXOTEC NIHONが国内初披露したSkypicker
(2022年10月10日号掲載)