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セイノー情報サービス、物流特化のAIエージェント

投稿日時
2026/02/25 09:00
更新日時
2026/02/25 13:33

現場の司令塔、脱・属人化の知的パートナー
物流効率化最前線:AIエージェント

人手不足の深刻化や物流効率化法の改正、物流統括管理者(CLO)の設置義務化を背景に、物流管理の高度化が急務となっている。庫内作業の自動化が進む一方、需要変動への対応や人員配置などマネジメント業務の負担は増大していると見る向きもある。この「管理の空白」を埋める存在として、セイノー情報サービスが開発する「ロジスティクス・エージェント」への期待が高まっている。同社が掲げる最先端技術戦略「BRAIS(Big Data/Robot/AI/IoT/Sharing)」の一環として位置付けられる本構想は、単なるツールを超え、物流経営の在り方そのものを変革しようとしている。

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【写真左】セイノー情報サービスの服部雄太担当課長、【写真右】説田亮執行役員

物流改革の議論において、見落とされがちなのが「運営管理機能の高度化」である。

搬送や仕分けといった庫内「運用」に関わる作業では自動化・省人化が進み、生産性向上の成果が見え始めている。一方で、物量急変への対応、人員配置の調整、顧客対応など、「運営管理」業務は依然として管理者の経験や勘に依存するところが大きい。

「現場の人材確保自体も課題ですが、特に深刻なのは、物量の変動に対応するため、スポットワーカー・外国人労働者のスキル差などを考慮に入れた業務調整を行う現場管理者です。働き方改革や物効法改正への対応もあり負担が集中しています」

こう話すのがセイノー情報サービス・事業開発室 担当課長の服部雄太氏だ。同社はこうした現場課題に対し、業界に先駆けて物流特化型AIエージェント「ロジスティクス・エージェント(LA)」の開発に乗り出した。狙いは、現場管理者が行ってきた「現状把握」と「判断」を、データとナレッジに基づき支援する「知的パートナー」の構築である。

システム構造はこうだ。統括役の「AIロジスティクスマネージャー」の下に、作業計画の立案などの支援に特化した「AIオペレーションプランナー」や、進捗の可視化・遅延検知を行う「AIパフォーマンストラッカー」といった特化型エージェントを配置する。各特化型エージェントはLMS(統合物流管理システム)やWMS(倉庫管理システム)に接続しながら、リアルタイムで現場の稼働データや在庫状況を取得・連携する。

例えば、現場で作業遅延の兆候があった場合、従来であれば管理者が直接WMSや現場担当者に進捗や人員配置を確認した後に、自ら計画の立案や応援要請などを行う必要があった。一方でLAを使えば、AIパフォーマンストラッカーが出荷遅延を察知すると、現状の生産性や人員配置などを取得し、AIオペレーションプランナーに情報を提供、その後人員配置計画や終了時刻予測などを立て、管理者に共有する。管理者はその内容を確認し実行指示をAIロジスティクスマネージャーに行うだけで、現場管理者への指示や各作業員への連絡などが自動的に完了する。

既に、この「作業進捗確認とリカバリー提案」に加え、「緊急出荷」「顧客問合せ対応」の3つのユースケースでシステム開発が完了しており、4月以降、一部企業にβ版の試験提供を進める予定だ。

■現場ノウハウが開発の強みに

生成AIの台頭は同社のように新サービスを生む一方で、プロダクトの差別化やシステム開発の優位性の維持が難しくなりつつある。ユーザー企業にとっても日々新たなソリューションが出てくる今、同社のサービスを使うべき理由はどこにあるのか。

同社・執行役員 事業開発担当の説田亮氏は差別化の源泉として「我々は自ら3PLとして物流センターも運営している。2万件を超える物流の原理原則(物流コーパス)や、イレギュラー対応まで網羅した600種類以上の運用マニュアルといった、他社には真似できない膨大なナレッジを保有している」点を強調する。

「当社のLAの最大の特徴は、既存のクラウドIT群『Logistics Component Business Map』とシームレスに連携できる点です。倉庫管理や輸配送などの実データを活用することで、現場に即した精緻な判断や改善提案を実現します。長年の現場支援とシステム基盤構築で培った知見を生かし、受発注から需給調整、在庫、配送までを点ではなく線として全体設計できることが強みです」(説田氏)

物流効率化法改正を受け、一部荷主企業には物流統括管理者(CLO)を軸とした改革の実行が求められる中、現場の改善を「やり切る」ための基盤整備が急がれる。現場の稼働や進捗をデータで捉え、変動に応じて打ち手を選び、指示を徹底する――この管理サイクルが回らなければ、現場は疲弊し物流の崩壊が現実のものとなるだろう。LAは、属人化しがちな運営管理の判断をナレッジとデータで支え、CLOの強力な補佐官として現場と経営をつなぐ役割を担う。AIが物流現場に伴走する未来はすぐそこまできている。

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セイノー情報サービスが定義(提供)するIT領域:LCBM 

(日本物流新聞2026年2月25日号掲載)