工程集約と自動化で高い生産性実現
オークマは、小型複合加工機「MULTUS U1000」(=写真)と「同 U2000」を開発した。高精度の長時間安定維持と高い加工性能を両立しながら、設置面積8.2平方㍍(MULTUS U3000比41%縮小)、機械幅も25%縮小(同)とクラス最小レベルを実現。限られた工場スペースでも高い生産性を発揮する。
U1000は6インチチャック、U2000は8インチチャックに対応する旋削主軸を搭載。多品種の部品加工に対応するため、80本の工具を収容できる大容量ATCマガジンを標準装備している。これは従来機(U3000)比で2倍の容量でありながら、機械幅は3510㍉に抑えた。多品種生産で必要となる工具種類の増加に対応し、作業者の工具交換頻度を最小化する。
近年は、医療機器の複雑形状化やチタンなど難削材の採用が進むほか、精密機器やEV、ロボットなど中・小物部品の小型・高機能化も加速している。こうした市場に対し、同社は「最高の精度安定性と高い切削性能を兼ね備えた機械だからこそ、工程集約と自動化による高い生産性を提供できる」としている。 複合加工機の商談の約40%を占める外径150㍉×長さ200㍉以下の部品加工においても、所要床面積を最小化しつつ加工領域を最大化し、従来機相当の加工性能を堅持。従来は工程分割していた加工条件を、そのまま転用可能な性能を確保している。
自動化対応も強化した。機械前面をフラット構造とすることで、加工物を着脱するロボットを機械に最大限近づけることができ、コンパクトなロボットセルを実現。さらにローダーを機上に取り付けることで、量産部品加工セルの省スペース化にも貢献する。
精度面では、刃物台の旋回軸および旋削主軸の割出精度を大幅に引き上げ、高精度化が進む中・小物部品の加工要求に応える。知能化技術「ファイブチューニング」により、5軸加工を長時間にわたって安定維持するほか、機械に搭載されたAIが状態を判断し、不意の故障による生産ロスを未然に防止する。
(日本物流新聞2025年11月25日号掲載)