赤とロゴが映えるハンマーなど続々
質実剛健という言葉を辞書で引くと「飾り気がなく、真面目で強くたくましいこと」とある。これを地で行く工具でプロの信頼を得てきたのがTONEだが、「飾り気がなく」の部分はいまや余計かもしれない。同社の手工具は昨今、ハウスマークやコーポレートカラーの赤をあしらうなど「一目でTONEとわかるデザイン」へと続々生まれ変わっているからだ。
そうした変化をまさに象徴する製品がハンマーだ。昨年からはじまったシリーズ全体の刷新により、ラインアップは新旧合わせて29種(2022年11月時点)に。従来は黒一色だったデザインを赤と黒の鮮やかな見た目に変え、グリップ中央のブランドロゴでTONEらしさも前面に出した。
直線的だったグリップは、緩やかにラウンドした力を入れやすく滑りにくい仕様に進化。先端材質も真鍮や軟鉄、樹脂やゴムなど幅広く取り揃え、叩く相手を傷つけない程良い硬さのものを選択できるようになった。「総合工具メーカーとして手広くラインアップすることで、すべての作業工具に対して指名買いのニーズに応えたい」(担当者)。今後も新商品の追加とリニューアルを並行するという。
装いを新たにした同社の工具は他にもある。例えばモンキレンチがそうで、数年かけたリニューアルがこのほど完了。「MWRシリーズ」として生まれ変わった。ラウンド形状の手に馴染むグリップにハウスマークを配し、肉抜きによる軽量化と握りやすい厚みを両立。見た目にも中身にも妥協しない1本に仕上げている。
MWRシリーズ最大の特長はガタの少なさにある。ウォームギアを多段かつ分割構造とし、ウォーム角度を絶妙に設計することで、ワイドな口開きながらガタを可能な限り低減しつつ、しっかり抑え込むことを可能にした。「抑え込む力とガタの少なさによる食いつき感が一味違う。スパナのように安定してナットに掛けられ、力を入れて作業ができる」という。
その言葉を裏付けるパフォーマンスを、同社のショールームで目にした。シリーズ最大サイズの「MWR-450」でA4の紙1枚を咥え、紙のほうを持って手を放す。すると重さ1.77?`のMWR-450が宙に浮いてしまった。そのまま左右に振るとモンキの重さに耐えられず紙のほうが破れたが、これは裏返すと「紙を食いちぎるほどガタが少ない」という証でもある。
デザインも「垢抜けた」と好評のMWRシリーズのサイズラインアップは全長100?_?450?_と様々な用途に合わせて最適なサイズを選ぶことが可能。また、口開きに対して全長が短い長さ110・140?_のショートタイプも取り揃え、プロの現場でも幅広く使われている。
(2022年11月25日号掲載)