大阪ラセン管工業、水素・FC展で耐久性3倍の超高圧フレキ
- 投稿日時
- 2026/04/06 09:00
- 更新日時
- 2026/04/06 09:00
高強度SUS XM-19材初採用
「売れる売れないに関わらず、どこまでできるか」
日本最古の金属製フレキシブルチューブメーカー・大阪ラセン管工業(大阪市西淀川区)の小泉星児社長は自社の開発姿勢をそう語る。超高圧、超極細径、超柔軟——それぞれの極を追い求めた結果として、誰も手をつけていない領域の製品ができあがる。
東京ビッグサイトで3月19日まで開催された「H2&FC EXPO 第25回 水素・燃料電池展」で同社がメイン商材として披露したのも、「極」を追い求めた製品だった。最高使用圧力90㍋パスカル対応の超高圧フレキシブルチューブで、従来のSUS316L材に代えてX
M-19材を採用した製品を披露した。90㍋パスカルという超高圧域への対応自体が同社のみであるにも関わらず、新素材を採用することで繰返しの加圧に対する耐久性を「約3倍」向上させた。
XM-19は窒素強化型の高強度オーステナイト系ステンレス鋼で、引張強度や耐疲労性に優れる。水素領域では、高圧水素環境下でも延性(伸び)を失いにくく、脆化破壊が起こりにくい特性を持っていることから、配管や容器の材料として知られた存在だ。「水素関係をやられているお客様であれば『おっ』と思ってもらえる素材」というが、フレキシブルチューブでは適用例がなかった。
「そもそも素材がない。XM―19のパイプ材や板材はあるものの、フレキシブルチューブの成形に必要なリボン状の薄板(フープ材)は他に用途がなく用意がなかった。素材メーカーに働きかけたことで、ようやく手に入れることができた」(小泉社長)
■屋内試験向けにニーズ有
まさにオンリーワンの製品だが、価格が高くては市場に受け入れられない。その点、本製品は耐久性は3倍だが価格は「ほぼ一緒」。SUS316L材の製品を使ってきたユーザーでは置き換えが進むと見る。
想定する用途も、従来からある車載タンクの検査用ホースや、高圧の気密試験用ホースでの使用が中心となると考えている。水素ステーションなどでの活用も視野に入れるが、より高い気密性が求められる屋内環境での使用が先行すると見る。
「屋外であれば透過によるリーク程度であれば問題ないかもしれないが、屋内だとそうはいかない。より気密性が高い金属製品が求められる」
「なぜ極みを追求するのか」。そう小泉社長に問うと「以前、当時最小径の3㍉のチューブを出した時、数年後に同じ径のチューブが出てきた。どんな技術でもいつかは真似されるため、常に先を行く必要がある。また、究極のところまでやっておくと、その製品が売れなくても他の領域で安心して任せていただける。副次的なメリットがある」と現実的だ。
同社では超高圧だけでなく、超極細径、超柔軟の領域でも新たな製品の上市・開発が進んでいる(=上の写真)。7月には「ものづくりワールド」(東京ビッグサイト)に、9月には「[九州]半導体産業展」(マリンメッセ福岡)に出展し、そうした新製品を披露する予定だ。同社の最新の「極」を追いたい。


会場には他にも2つの新製品を並べた。ギネス世界記録を持つ「Micro Mini Flex」(内径1.6㍉)をさらに上回る内径0.9㍉の「Nanoflex」(写真上)と、9月上市予定の折り畳み可能な金属製ベローズ「ORIGAMI-BELLOWS」だ。Nanoflexは既に医療機器分野からの引き合いがあるという
(日本物流新聞2026年3月25日号掲載)