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ゼネテック、クボタ・枚方製造所の工場内物流を整流化

投稿日時
2025/02/26 08:54
更新日時
2025/02/26 08:57

(株)ゼネテック

クボタ・枚方製作所でのFlexSim活用のイメージ

物流・製造向け3Dシミュレーションソフトで

農業機械や建設機械の製造販売を手掛けるクボタの「枚方製造所」は、建設機械生産のマザー工場に位置づけられ、主力製品の一つであるミニバックホーなどを生産する。建設機械業界は、2008年のリーマンショック以来ずっと右肩上がりの好況が続いており、同製造所も増産体制確立に向けた新棟建設の取り組みが進められている。

新棟の稼働にあたって、所内の物流量の増加や走行ルートの変更による渋滞の発生が危惧されたことから、事前検証でFlexSimの活用が始まった。つまり、同製造所は建設機械関連だけで1日約1千台ものトラックが出入りし、走行ルートも約30種類ある。検討すべき項目が複雑で、従来の表計算ソフトを使った検証では結果を保証できない懸念があった。検証に伴う煩雑さの解消と正確な事前検証を行うため、シミュレーションソフトの活用が検討され、10種類ほどのソフトを検討した結果、FlexSimが選ばれた。

「ノーコードでモデル作成が可能なことや日本語対応していること、サポート体制が充実していることなどが決め手となりました。導入後も丁寧なサポートをいただいます」(同製造所建設機械製造部の岡晃史氏、以下同)

最初に作成した製造所内の交通渋滞予測のモデルでは、移動速度が異なるトラックとフォークなどそれぞれの移動主体ごとに異なるパラメーターを設定。小型電気運搬車両が前にいる場合、トラックはその車両に速度を合わせるなど、状況ごとのパラメーターも設定し、より現実に即した検証が行えるよう工夫した。また、検証結果が正確かどうかを判断するため、製造所内の中央交差点におけるトラック一台一台の停止時間とシミュレーションによる解析値を比較することで、ほぼ差がないことを確認した。

このシミュレーションを通して、渋滞の課題が、最初に懸念していた中央交差点ではなく、出荷路にあることがわかった。これらの検証結果をもとに、新棟の本格稼働まで順次安全性や効率性を改善するためのトライアルを進めている。

こうした取り組みは現在、新棟・新工程における1ラインあたり200にもなる複雑な工程と3千以上の型式数の中から日々流れる製品構成が異なるといった様々な要素が絡み合う全体の工程の一気通貫した検証などにも展開されている。

「FlexSim導入後は、複雑な工程の試算も一旦基礎となるモデルを作れば、パラメーターの変更だけで全体を見通した資産が可能になり、確かな検証をスピーディーに行えるようになりました。デモを見た他部署から『うちでも活用したい』といった要望も届いていますよ」



(日本物流新聞2025年2月25日号掲載)