大容量データをリアルタイム処理
キタムラ機械と、NTTドコモは、5Gを用いて遠隔から工作機械の自動運転を実現する「Auto-Part-Producer 5G」の共同開発を、3月より開始した。
「Auto-Part-Producer 5G」は、5G通信に対応した工作機械の制御機能。マシニングセンタに5Gを用いて、製造する部品の加工プログラムを伝送することで、遠隔から全自動での部品製造を実現する。
従来は熟練者が専用の加工プログラムを作成する必要があったが、同社では2018年に「Auto-Part-Producer」を開発。3D設計データを読み込むだけでマシニングセンタの自動運転を可能にしている。だが、近年は部品の複雑化に伴い3Dデータも大容量しているので、高性能なデータ処理機能を工作機械一台一台に搭載する必要があり、依然として作業者は機械側での操作が求められているのが現状。
だが、「Auto-Part-Producer 5G」では、データ処理をクラウド上で行いながら、そのデータを5Gでリアルタイムに工作機械に伝送するため、「遠隔からの操作や、複数の工作機械の制御を一人で行えるようになり、工場内の人手不足の解消にも繋がる。また、工作機械自体に高性能なデータ処理機能を搭載する必要が無いため、従来よりも3割程度安価に同機能が導入可能になる」(キタムラ機械)。
この共同開発にあたり、ドコモはキタムラ機械の高岡本社工場を5Gエリア化し、3月に共同開発拠点「KITAMURA Innovation Factory」(KIF)として開設した。今後両社はKIFでは5Gを用いたクラウド処理とリアルタイム加工の技術検証を行い、2023年4月の商用化を目指す。
(2021年4月10日号掲載)