受講や主軸診断も
数十年の長期にわたって使われる工作機械のビジネスが変化している。
機械を売る「モノ」のビジネスに、IoTによる問題解決や用途開発などの「コト」を付加した提案だ。これまで訪問や対面が当たり前だったメンテナンスや講習会などのサポートも、コロナ禍で移動が制限されたことで「遠隔で受けたい」とのニーズが高まっている。
ヤマザキマザックは2019年4月から開始したクラウドサービス「Mazak iCONNECT」を拡充。最新CNC「MAZATROL SmoothAi」搭載機を対象に、昨年12月販売分からこれまで有償だった専用通信機器を標準装備させ、3年間無料でサービスを利用できるようにした。
Mazak iCONNECTは、顧客、工作機械(同社製)、サポートセンタをクラウドネットワーク技術でつなげることで、生産性を高める総合サービス。携帯電話回線を使用することで、複雑な配線作業が不要に。「機械導入初日からすぐに利用できる」という。
PCやスマートフォンから専用ポータルサイトにアクセスすれば、稼働状況などをいつでも確認できる。そのほかにも、CNCデータバックアップ、定期点検の管理、プッシュ通知、ソフトウェアダウンロード、稼働履歴報告などが受けられる。写真やビデオをチャット共有することで、技術担当者に機械の状況を伝えられる機能も備えている。
クラウドに1日1回自動保存された、加工プログラム、工具データ、ワークオフセット、パラメータなどのデータは暗号化されており、パスワードを入力することで複号・閲覧できる仕組みだ。
昨年7月からポータルサイト上でスキルアップを支援するサービス「MAZAK e-Learning」を開始。プログラミングスクールなどの講義をデジタル化したもので、スマートフォンやタブレット端末があれば、いつでも受講できる。
経営企画室の担当者は、「(新型コロナウイルス感染症の影響で)展示会やお客様の立会いなどの営業活動だけでなく、全国各拠点で提供しているトレーニングスクールもwithコロナに即した取り組みが必要となった。今回の取り組みは、この状況下において好評いただいている」と話す。
今年1月以降に追加・アップデートする機能としてミル主軸パフォーマンス診断を発表した。
「スムースAi主軸」(オプション)搭載機種が対象。ミル主軸の状態を定期的に診断し、異常が見つかった場合は通信機能を利用して、サポートセンタから遠隔で、より詳細な診断を受けることでダウンタイム削減を可能にした。「従来は当社の技術者が専用の装置で診断していた」という。
サービスの利用料金は初年度37万6千円(通信機器込み)。2年目と3年目は9万8千円に設定した。今後、稼働監視や保守管理に関するサービス機能を拡充する予定だ。