将来宇宙輸送システム、北大発ロケットエンジン開発企業と連携
- 投稿日時
- 2025/04/30 10:17
- 更新日時
- 2025/04/30 10:20

2028年の打ち上げ目標
再利用型ロケットの開発を手掛ける将来宇宙輸送システム(ISC、東京都中央区、畑田康二郎代表取締役)は4月14日、北海道大学発スタートアップのLetara(レタラ、北海道札幌市)と包括連携協定を結んだと発表した。
将来宇宙輸送システムは、宇宙往還可能な輸送システムの実現を目指すスタートアップ。2040年までに50人乗りの単段式宇宙往還機による輸送システムを実現するため、25年内に実証試験を開始するよう取組みを進めている。畑田代表が「当社はフライトシミュレーターなどを使用して機械システム全体として設計・評価する技術に強みを持つ」と話すように、すべてを自社内で開発するのではなく、様々な企業と連携しながら柔軟に最適解を見出していく姿勢に特徴がある。
今回協定を結んだレタラは、液体燃料と個体燃料を組み合わせたハイブリッドエンジンを開発しており、これまで人工衛星を宇宙空間で推進させるための小型エンジンを提供してきた。この度の提携を通じて、ロケットシステム用エンジンの開発に本格的に着手する。
ハイブリッドエンジンは、液体燃焼エンジンに比べて構造がシンプルで取り扱いが容易。安全性やコスト面で優位性がある。そのため「様々な試験を繰り返し行ってロケットを進化させていくのに相性のいいアイテム。さらに、安全性の高さは有人システムへの発展性の観点からも評価できる」(畑田代表)とする。今後、システム設計・検討や燃焼試験の実施を通じて、28年の打ち上げ実現に向けた開発体制を構築していく。
将来宇宙輸送システムが開発を予定している50人乗り再利用型ロケット「ASCA3(アスカスリー)」のモック
(日本物流新聞2025年4月25日号掲載)