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山善、ロジス大阪稼動

投稿日時
2025/01/09 14:10
更新日時
2025/01/09 17:39
AMRによるかご車自動運搬

プロフィット化(外販)へ、共同輸配送で脱炭素も

山善は1月6日、西日本のモノづくり産業を支える物流拠点「ロジス大阪」(東大阪市)を本格稼働した。自動倉庫やプロジェクションマッピング、AMR(自律走行搬送ロボット)などを活用し、従業員の成熟度を問わないスマート物流を目指す。また同社の「物流2030年ビジョン」に掲げた、メーカー、販売店、同業卸から輸配送業を受託できる体制を構築する「第2ターム」の重要な一歩となる。営業本部執行役員物流企画管掌の松田慎二氏は「すでに機械工具卸4社と共同配送に関する勉強会を実施している。メーカーからも引き合いが来ている。来期からどんどん外販を進めていく」と意気込む。同拠点に約500坪の外販用倉庫も確保し倉庫業務にも意欲を見せた。

複雑な生産財のハンドリングや、業界の慣習である「五月雨受注」(販売先担当者毎にバラバラ発注)に対して、同社が創立以来70年以上続けてきた「おまとめ配送」。これらは熟練作業員に依存していたが、ロジス大阪では、業界に先駆けて半自動化を実現。様々なマテハン最新機器を導入し従来拠点のロジス大東(大東市)に比べ在庫アイテム数は6万から10万SKU、1日の出荷能力は8600行から1万3000行に増えるが、従業員は130人から100人に減少。「理論的には、一人当たりの生産性は2倍に改善される」とし「こうしたノウハウと最新施設を活用し、メーカー様、一部競合先も含む問屋様など業界他社と共同輸配送を実施していければ当社はもちろん、業界全体の輸送コストとCO2排出量の削減へ繋がる」(松田氏)とプロフィット化(外販)の社会的意義を語る。また「我々の業界は一般の3PLに委託しにくい特異性がある。一例をあげると品物と納品書を一緒にお届けしなければいけない。こうした商習慣にも当社なら対応できる」と自信を見せた。

プロフィット化の実務を担うヤマゼンロジスティクスは大規模拠点「ロジス」を国内15カ所、小口配送拠点「デポ」を104カ所有する。現在、ロジスとデポを連携させることによって、自社便(チャーター便)配送エリアを拡大させている。また倉庫業、第一種貨物利用運送事業の許可をすでに取得している。

■早朝配達サービスを今春始動

ロジス大阪ではAMR10台を活用し、作業間の地点間搬送を効率化するほか、在庫用シャトル自動倉庫とプロジェクションマッピングシステム、「おまとめ配送」作業の自動化、梱包エリアの自動化、段ボールケース自動製造システムなどにより「歩かせない、待たせない、考えさせない倉庫で物流品質も向上させる」(ヤマゼンロジスティクス・辻村宗一ロジス大阪所長)と話す。

同拠点が位置する東大阪エリアは、全国でもトップクラスの中小工場(町工場)の集積地であり、特に金属加工業が多く集まっている。昨年10月にオープンしたモノづくりの総合プラットフォームサイト「teraido」との相乗効果も狙っているという。また共同輸配送に関しても、東大阪ゆえの優位性がある。辻村所長は「業界他社の荷物は山善と同じ納品先(販売店)の場合も多く、ミルクラン集荷で山善および同業の問屋様、メーカー様を周り集荷。その後、自社便や路線便(チャーター便)を活用して届ける。自社便であれば積載率の向上、路線便であれば同梱による梱包数の削減につながり、業界全体での輸送コスト、運送におけるCO2排出量が削減される」とする。他にも「関西エリア初」(同社)となる18時頃受注した商品も翌朝届ける「早朝配達サービス」を今春に開始する予定だ。受注時間が拡大し、販売店にとってサービス向上につながるだけでなく、道路が混雑していない夜間から早朝に配送されるため配送効率もアップする。

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【写真左】ヤマゼンロジスティクス ロジス大阪所長  辻村 宗一 氏、【写真右】山善 営業本部執行役員 物流企画管掌 松田 慎二 氏

(日本物流新聞2025年1月10日号掲載)