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エアコン27問題、省エネ基準厳格化で価格高騰

投稿日時
2025/11/04 09:00
更新日時
2025/11/04 09:00
今年50周年を迎えた日立ルームエアコン「白くまくん」(9月に行われた発表会に登壇した鷹取聡家庭用事業本部長〈左〉と神野憲之家庭用商品企画部長、白くまくん)。ボッシュホームコンフォート・グループに加わって初の新製品「白くまくん プレミアムXシリーズ」には高気密・高断熱住宅に対応した独自の制御機能「LAB制御」を搭載

2027年度から家庭用エアコンの省エネ基準が大幅に見直される予定だ。「エネルギーの活用の合理化等に関する法律(省エネ法)」に基づき実施されるもので、冷暖房が家庭のエネルギー消費の約3割を占めていることを踏まえ効率化を目指す。

今回の見直しではエアコンの年間消費電力量を示す「通年エネルギー消費効率(APF)」の基準が引き上げられる。具体的には、最大の引き上げ幅となった14畳程度の部屋に対応する冷房能力4.0キロワットクラスの機種では、現行基準比で34.7%の性能改善が求められている(最低でも13.8%)。

これまでのハイエンドモデル並みの環境性能が必要になる都合、安価なスタンダードモデルを値上げせざるを得ない状況になることがほぼ確約されている。メーカーからは「今回の改定は企業努力ではどうにもならない、コスト上昇分は価格に転嫁せざるを得ない」といった声が漏れる。

状況を難しくさせるのが、駆け込み需要や補助金などだ。各社、着々と27年度向けの製品開発を進める傍ら、来年度に起こるであろう駆け込み需要と27年度以降に発表される可能性のある各種補助金に関する動向に目を光らせる。というのも、記憶に新しい夏の猛暑をきっかけに、エアコンは現代社会の生活インフラの一つとなっている。価格が上昇したことで買い控えが発生すると生死にかかわる問題となりかねず、政府や自治体からの支援があるのではという見方があるからだ。

「駆け込み需要に対する生産量不足は避けたい。一方で、補助金がしっかり出て消費者にとっては従来通りの価格で買えるとわかった場合は、駆け込み需要が立ち消える可能性もある」

メーカーにとっては難しい舵取りが必要になるが、消費者にとっては、駆け込み需要で在庫がなくなる心配や補助金が出なかった場合を鑑み、今年度中に買い替えるのが間違いない。

(日本物流新聞2025年10月25日号掲載)