手書き・共有機能が特徴のデジタルツール
ブラザー工業は、2022年に立ち上げた新規事業「Buddy Board」で建設業界のペーパーレス化を後押ししている。従来、設計事務所やゼネコンでは同社の大判プリンターが数多く使用されてきたが、政府によるオンライン化の推進や環境対応などにより、ペーパーレス化が急速に進んでいる。
紙の代わりにiPadなどタブレットが活用されているが、思いついたアイデアを即座に図面に反映させたり、関係者が一つの図面に膝を突き合わせて情報を共有するといったことが難しくなった。Buddy Boardは、この「手書き」と「共有」に目を付け、現場で誰でも直感的に使える品質を備えたデジタル考具として開発した。
図面や資料への手書きでの追記機能によって、口頭では伝わりにくい細部情報も正確に共有できる。また、距離・角度・面積を測れる測定機能を備え、無理のない設計・施工計画の立案に寄与し、手戻りの削減につながる。複数人が同時に閲覧・編集できるため、確認作業の手間も軽減される点が特徴である。
さらに、専用のアプリケーションだけでなく、Webブラウザ経由での共有や編集にも対応し、デバイスを問わず会議参加が可能。コロナ禍のリモートワーク需要とペーパーレス化の潮流を背景に市場は拡大しており、同社によれば事業はここ数年間は「倍々で成長している」という。若手から熟練者まで世代を問わないデジタルツールが、建設DXを支えている。
(日本物流新聞2025年12月10日号掲載)