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Mujin 愛知ロボットイノベーションセンター (岡崎事業所)、「見て・触れて・試せる」自動化の最前線

投稿日時
2026/02/24 17:05
更新日時
2026/02/24 17:07
松本部長と拡張予定のスペース

三河の製造業、搬送改革に熱
物流効率化最前線:工場内物流

深刻な労働力不足は、物流の現場だけでなく製造現場にも至っている。生産設備、製造ラインの自動化は早くから進められてきたものの、その前工程や後工程との接続部では多くの人手を要してきた。しかし、ここにきて自体は一刻を争うと、工場全体の物流の効率化に視線が注がれている。独自の統合型オートメーションプラットフォームで自動化を推進するMujin Japanの「愛知ロボットイノベーションセンター(岡崎事業所)」にも工場内物流自動化を求める相談が相次いでいる。同センターを訪れ、最新の自動化ニーズを聞いた。

設置から1年余りで1700人以上が訪れ、「当初はこの広い空間が埋まるか不安もあったが、既に手狭となりつつある」と嬉しい悲鳴を上げるのが、自動化知能ソフトウェアの開発を手掛けるMujinの「愛知ロボットイノベーションセンター(岡崎事業所)」だ。

2024年12月に名古屋市内から移転・オープンし、トヨタ自動車をはじめとする主力ユーザーへ30分圏内という至近に位置する。同社・営業本部 名古屋営業部 部長の松本圭太氏は、「この地域は現地現物主義が深く根付いている。日本が世界に誇るモノづくりに伴走するためにも、お客様のワークで実際に試し、納得して導入していただく必要がある」と、この地で拠点を構える意義を強調する。

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通い箱のデパレタイズ/パレタイズロボット。「日々進化しているのが当社のシステムの特長。展示会で見た時よりもどんどん動きは高速・精緻になっていますよ」

同センターの最大の特徴は、単に最新ロボットを展示するだけのショールームではなく、「見て・触れて・試せる」というコンセプトを体現した多機能な検証・実装拠点である点だ。約1600平方mという空間を活かし、実際の現場に近い環境で動作検証が行える「テストエリア」を構築。顧客は自社で使い古した通い箱やワークを持ち込み、納得がいくまでサイクルタイムや安全性を検証することができる。

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傾斜や段差などの環境テストや顧客のワークを使ったテストなどにも対応しており、導入前の不安を払拭できる

主力ユーザーの至近という立地を活かし、東京本社で行っていたシステムの組み上げや出荷前立会いの「立ち上げ拠点」としても機能しており、ユーザーは気軽に導入機の進捗を確認することが可能だ。中には、AGV(無人搬送車)の構造確認のため分解しに来るユーザーもあるが、「それで安心していただけるなら」と受け入れる。敷地内には数十台のAGVを常時在庫として確保しており、急な故障への代替機供給や短納期での導入要望にも即座に応えられる「供給・サポート体制」を構築している。

■「工場内搬送」改善ニーズ拡大

同センターを訪れるユーザーの多くは製造業だが、近年は生産ライン単体の自動化を超えた「工場内物流」の改革を求めるニーズが増えている。松本氏によれば、深刻な労働人口の減少を背景に「2030年までに物流人材を半減させ、より付加価値の高い作業へ再配置させる」という意欲的な目標を掲げる企業も出てきており、工場の入出荷エリア、さらには工程間の「保管・搬送・仕分け」をいかに自動化するかが次なる関心事となっている。

とは言え、使用される機器はアーム型ロボットやAGVなど、生産の自動化で使用してきた設備と同じため、同社のソリューションに慣れたユーザーであれば導入ハードルはそこまで高くないように思われる。しかし、松本氏は「工場内物流の自動化は、生産技術部門だけでなく、指示情報を出す生産管理や各サプライヤーを管理する調達部門など、複数の部署を跨ぐため、自社内だけで要件定義を完結させることが非常に困難になる」と指摘する。

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独自のプラットフォーム「Mujin OS」のログ分析画面のイメージ。リモートでのトラブル初期対応だけではなく、ユーザーでも過去に遡ってシステム状態確認も可能にする。導入後の支援体制も同社が評価される理由だ

こうした課題に対し、同センターでは専門のコンサルティング部門が現状分析から伴走する生技向け物流改革サポートサービスを提供し、顧客から高い信頼を得ている。従来、物流の自動化は展示会で目にした最新機器ありきで、個別最適に終わってしまうケースが多かった。これを避けるため、本サービスでは現場の在庫保管量やフォークリフト・作業者の稼働状況などを、時にはストップウォッチを用いた「張り付き調査」も交えながら徹底的に現状分析をしてデータ化する。

「『素材』が揃っている大手企業のお客様でも、その素材をどう料理すれば物流効率化が進むのか、あるいはその調理した結果が美味しいのか不味いのかを判断できず困っていらっしゃる場合も多い。我々は徹底的な現状分析と時にはどういう味付けが美味しいのかをレクチャーしながら、正しい設備選定をサポートしている」

こうした三河地域の旺盛な需要を受けて、同センターは今、拡張計画が進んでいる。「実証テストの予約が集中し、デモを希望するお客様へのすぐにご案内できない事が課題となっている。より多くのお客様を受け入れられるよう取り組みを進めている」という。4月には最新技術を公開する顧客向け内覧会も予定されており、三河地域における製造・物流自動化の「聖地」としての存在感は、今後さらに高まっていくことになりそうだ。



(日本物流新聞2026年2月25日号掲載)