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三菱電機、ワイヤ・レーザ3Dプリンタ

投稿日時
2022/04/01 09:00
更新日時
2024/08/19 13:20

CNC協調制御で高精度造形

 三菱電機は溶接用ワイヤをレーザで溶融し、三次元構造を高品質に造形するワイヤ・レーザ金属3Dプリンタ「AZ6002機種を3月より発売する。
 金属加工現場でもCO2排出量削減ニーズを背景に、加工時のエネルギー削減や省資源での高効率なモノづくりが求められる昨今。金属3Dプリンタは、従来の製造工程を大幅に短縮し、製造工程における廃棄材料を削減でき、さらに複数の部品の一体化や軽量化が容易で設計の自由度が向上するという利点から、需要拡大が見込まれている。
 一方、材料に粉末を利用する金属3Dプリンタは、材料管理や作業性、安全性など課題も少なくない。同社はそれらの課題の解決に向け新たなワイヤ・レーザ式の金属3DプリンタAZ600を開発した。
 従来のワイヤ方式の金属3Dプリンタは熱源にアーク放電を用いる場合が多く、素材の熱ひずみや熱影響層が大きく造形精度に難があった。AZ600は熱源にレーザ光を採用することで精度を大幅に向上。「世界で初めてワイヤ送給やレーザ出力などの加工条件と軸移動をCNCで協調制御することで、三次元構造の高精度な造形を可能にした」(同社)。
 専用CAMで生成した造形経路ごとのレーザ光の照射と、ワイヤ送給を制御するデジタル造形技術は、点状の造形から線状の造形に至るまでの三次元構造に応じた最適な造形条件を導き出す。また品質が安定しているワイヤ材を用いることで、高い材料緻密度で空孔の少ない高品位な金属造形を実現する。さらに独自のきめ細かな入熱制御により、アーク熱源では実現困難な三次元構造も高精度に造形し、切削加工では原理的に不可能な中空球などの造形も可能にする。
 「金型やタービンブレードなど過酷な環境で使用される高額な消耗部品は、欠損部分の補修が課題となっているが、積層造形で修繕して使用することで長寿命化やランニングコストの削減につながる。熟練者による手作業が中心となっている肉盛溶接や開先溶接も自動化が可能となり、作業者に依存しない溶接品質の安定化や溶接時間の短縮、省人化に貢献する」(同社)
 発振器出力2kW4kW2タイプを用意。年間100台の販売を目指す。また同製品による受託造形サービスも行っていくとしている。

2022325日号掲載)