大阪どてらい市、出展製品詳報
- 投稿日時
- 2025/08/07 17:13
- 更新日時
- 2025/08/07 17:23

作業負担軽減に熱視線
かご台車牽引・追従ロボット台車など続々登場
展示商談会「大阪どてらい市」(販売店84社が主催、出品メーカー357社)が、7月4、5日にインテックス大阪で開かれた。例年より短い2日の会期だったが1万2619人が来場、目標の135億円を6.2%上回る143億3282万円の売上を記録した。紙面のスペース上入りきらなかったメーカーを中心に、ウエブ限定記事として詳報する。
両備ホールディングスはかご車用の牽引アシスト車「スマイリー・リンク」を訴求。牽引能力は500㌔。人手不足や高齢労働者の増加に対応して効率よく荷物を運びたいニーズを捉えた「ありそうでなかった商品」だと担当者。かご台車にはいろいろなメーカーや仕様があるが、おおよそ対応可能。かご台車にスマイリー・リンクを装着すると、かご台車の前の2輪が浮き上がり、後ろの2輪(自在輪)とスマイリー・リンクの1輪(固定輪)で3角形(3輪)を作ることでお尻がふらつくことを防ぎ500㌔を引っ張れるのがコア技術だ。「300㌔のかご台車を2台運ぶ場合2人が必要だったが、2台を連結して1人で運ぶことも可能」(担当者)と話す。AGVやAMRなら数百万、同商品は定価80万円、なのでコストでも導入を狙える、と担当者は自信を見せた。
まるで風船を引っ張るような軽さで運搬できる、やまびこジャパンの追従ロボット台車(参考出品)
開幕直後から多くの人を集めた参考出品のやまびこジャパン牽引型追従ロボット台車。持ち手と台車を細いケーブルで繋ぎ、軽い力で引っ張った方向にロボット台車が追いかける。最大200キロまで載せられ、後進も可能。「1日で多くの人に見てもらえた」(担当者)。交換式バッテリーを2台備え、充電している間はもう1台で稼働する。オプションもフラット架台やあおり付き架台、警報音付きパトライト、グレータイヤな様々に用意する。
回転抵抗力を40%低減したミラクルウレタンを標準装備した超重荷重運搬キャスター「Smove」をプレゼンテーションしたのはナンシン。重量使用、メッシュパレット仕様、プラスチックパレット仕様の3バリエーションを規格化した。「ミラクルウレタンは転がり抵抗を追求した高反発弾性があります。反発力で真円に戻ろうという力が働くことで、空気を多く入れた車の車輪の様に地面との摩擦が小さくなります」という。800キロ積載した通常のキャスターと「Smove」を実際に動かし比べる体験を実施。来場者は800キロを一人で動かせることに驚く様子が見られた。フォークレス化も可能との訴求もあった。
手押し台車のハンドル部に取り付けるドーナツ状の「ハンドガード」と筒形の「ハンドグリップ」で指挟み事故を防ぐカーボーイ
カーボーイ現場の安全対策製品に豊富なラインナップをもつカーボーイ。手押し台車を扱う際、壁や棚との間に指が挟まれることを防ぐ「ハンドガード」「ハンドグリップ」で労働災害を防止する。ゴム弾性をもつエラストマーを材質としたハンドグリップは筒形状で取り付けが簡単。グリーン、黒、イエローから選べ、持ち手の目印にもなりグリップも向上。冷たく感じる鉄製ハンドルの冷え防止にもなる。ドーナツ状のハンドガードは持ち手と壁の間に隙間を作り、ぶつかっても作業者の手指を挟むことがない。ストレート/湾曲タイプどちらのハンドルにも装着可能。8000N以上の荷重に耐えられる剛性を高めたストロングタイプや、曲げ加工された台車のハンドル幅ギリギリに取り付けられる「ハンドガードR」も用意する。
サイエンスは、浸かるだけで汚れを落とせる「ミライ人間洗濯機」の技術を大阪どてらい市でも披露
■工場作業の効率化・安全性を高める提案も
デンヨーは、背負式バッテリー溶接機WELZACK(ウエルザック)を提案HiKOKI製の電動工具用バッテリーを3つ搭載し「ガソリンやディーゼルのエンジン溶接機が主流であるが、重量が重たく持ち運びが不便な面があります。高所作業だと下からケーブルを伸ばして溶接する場面もあったがウエルザックであれば重量が10キロですので背負って高所に持っていける。溶接作業場では降ろして溶接していただける」(担当者)と話す。最大溶接電流は120Aであり、適用溶接棒はφ3.2㍉となり「高所作業で配線などが面倒だった事業者さんには便利」とする。ガソリンやディーゼルのエンジン溶接機と比べると溶接時間は短くなるので、高所での点付け溶接などニッチな需要をしっかり捉えていきたい考え。
CKDは軽量物を繰り返し作業で運ぶような環境に向け、コンパクトなバランサー「コンパクトアームCAWシリーズ」で社業者負担の低減を提案。吸着やマグネットハンドに対応しており持ちにくいワークにも有効だ。「5キロぐらいのワークだと、現在は人が動かしているが女性やシニアが現場にも増えてきており、5キロの長時間の繰り返し作業は負担が大きくなっている。そういう市場に提案していきたい」(担当者)と話す。元々はツールバランサーとして開発したが、ワークも搬送したいとの現場の声で商品化した。
昨年10月に発売した浮遊オイルミスト用集塵装置「AC-900」の実物と工場環境の再現ミニチュアを置いたのはアマノ。「当社は局所集塵のミストコレクターをラインナップしていますが、一部排気漏れや工作機械のドアが開いた瞬間の流出などで工場の上部にもくもくとミストが対流してしまう場合もあった。それを天吊り式のミストコレクターで工場内の環境をさらにクリーンにしていきましょうという提案」(担当者)と話す。天井に複数台を設置し、空気をぐるぐると循環させながら電気集塵方式で全体集塵をしていく。小型化に注力しており製品質量20キロ、電極質量5キロと小型軽量化により全ネジボルトでも安全な吊り下げ施工が可能。「工事が簡単でメンテナンス作業もしやすくなっている」(担当者)とする。
建築基準法および労働安全衛生法の適用除外となる垂直搬送機を提案。既設の建物に設置できるようにコンパクト設計にするのが鈴木製機の特徴。天井が低い場合はモーターを横づけしたロートップ製品も展開する。「今回展示しているのは薬品メーカーや食品メーカー向けのオールステンレス製だ。ニッチな商品なのでステンレス製を製造しているメーカーは少ない中、当社は実績も多くある。当社が展開するサイズ、すべてオールステンレスで提供できるのでバリエーションもある」(担当者)と話す。また薬品や食品だけでなくクリーンルームでの展開もある。
オークラ輸送機はパレタイジング用協働ロボットシステム「イージーパル」の実機を持ち込んだ。協働ロボットを活用した手軽なパレタイジングシステムで、侵入防止柵が不要なため、狭い場所でも設置できる。それをアピールするため足元に減速エリア、停止エリアとマーキングし人が近づくと実際にロボットが減速や停止をする様子を体験できる。「これまでの産業用ロボットの経験を活かしたシステムになっている。食品業界の最終工程での納入が増えている」(担当者)と話した。
NKEは4年前に作ったキャラバンカーをどて市に持ち込んだ。「コロナ禍で方針を変えて、お客様にこちらから持っていこうと考えて作ったのがキャラバンカー」(担当者)とした。同社主力のコンベアで、循環コンベアやパレット搬送コンベアのミニチュアをキャラバンカーに満載していた「工場設備でパレット搬送をされているところも多いのでそれを切り出して提案している」と話した。
明治機械製作所はバッテリー中圧コンプレッサを参考出品したのは明治機械製作所。「これまで当社には中圧仕様がなく初めて開発した」(担当者)という。トラックなどのタイヤの空気圧注入などを見据えており「バッテリー式なので車に乗せて出張対応などにも使える」とし、発売は未定で参考出品として提案して引き合いの強さやニーズを掴んでいる段階だという。
作業工具メーカーとして金属加工のノウハウを活かし、FA事業を約2年前に立ち上げたフジ矢。ブランド工具「KUROKIN」と共に、自社製の研磨ツールを装着したElite Robotsの協働ロボットを展示した。重研削向けのベルトグラインダーやディスクグラインダー、曲面形状の研磨ができる自動スラック研磨なども、用途に合わせて適宜対応していく。「現状、ロボット用研磨ツールは海外勢が多いが、国産メーカーとして存在感を発揮していきたい。拠点をベトナムに置いているため価格面でも勝負できる」(フジ矢テックベトナム・庄子就副社長)
ダイアディックシステムズは、PLCを使わずに簡易プログラム運転が可能な自律分散型制御システムを提案していた。一般的にはPLCでラダープログラムを作成し、位置指令をパルス信号でドライバーに送る仕組みだが、「従来のPLC構成では、パルス発信系統でノイズを拾いやすく、それがチョコ停の一因となる。当社の自律分散制御では、信号伝達経路にノイズの影響を受けにくい構造を採っており、養生・シールド処理も行いやすいため、管理性・安定性に優れる」と担当者は話す。この制御方式を採用したメカシリンダでは、単純な繰り返し動作において、標準搭載のセルフコントロール機能により、簡易なプログラム運転が可能。単軸・単純動作の場合は、サーボアンプが直接動作を記憶して実行できる仕組みとなっている。
「来場者の多い大阪どてらい市では、改めてウリである切断砥石をメインに押したい」(レヂトン)と、切断スピードと耐久性を高めた切断砥石「純金」を前面にディスプレイして訴求する。「砥石を固めるボンドも自社で開発から手がけた。ロングセラーの『金の卵』は広く認知されているが、さらにクオリティを求めるお客様に向けて最上級の品質を届けたい。バリも非常に少なく、湿気をガードするパウチパックに入っており湿度による劣化を抑える」
ホーローシステムキッチンのフラッグシップモデル「レミュー」を訴求したのがタカラスタンダード。「クオーツストーンという石の天板が選べる。ラメが入っており高級感がある」(担当者)とする。2023 年8月にレミューはモデルチェンジしており世界初となるホーロー3D インクジェット印刷技術を用いたデザインや、より家事を楽にする機能を盛り込んだ。「今年8月にも商品が一部リニューアルする。洗面化粧台は何十年ぶりのリニューアルになり8月以降ショールームも入れ替えするので、見に来てほしい」(担当者)とアピールした。
(2025年8月10日)