荏原製作所、ロケットエンジン用ポンプの運転試験成功
- 投稿日時
- 2025/10/16 09:12
- 更新日時
- 2025/10/16 09:14

荏原製作所は9月18日、開発中のロケットエンジン用電動ターボポンプにおいて、ロケットの燃料である液体メタン(LCH4)を多く含有している液化天然ガス(LNG)と液体酸素(LOX)を用いた運転試験を実施し、製品の安定作動を確認したと発表した。
試験は6月から8月にかけて千葉県富津事業所で行われ、定格回転数での性能や健全性を検証。異常振動や漏洩はなく、設計通りの流量・圧力・回転速度が得られた。従来のロケット用ポンプは高温高圧ガスで駆動するタービン方式が主流で、構造の複雑さや高コストが課題とされてきた。これに対し、同社の電動ターボポンプはバッテリー駆動のモーター方式を採用し、エンジンシステムの簡素化と精密な出力制御を可能にする。
同社は2021年に宇宙事業を立ち上げ、「人と宇宙のつながりを当たり前にする」ことを掲げて翌年からロケットエンジン用電動ターボポンプの開発を進めてきた。今回の成果は、宇宙輸送の低コスト化と信頼性向上に寄与するものであり、28年の実用化を目指し、さらなる性能向上に向けた詳細設計と試験を進める方針である。
(日本物流新聞2025年10月10日号掲載)