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セーレンス、営業支援ツールでヤマナカゴーキンの新規案件「3年連続30%増」

投稿日時
2026/09/29 09:11
更新日時
2026/09/29 09:15
セーレンス使用風景

活動量を可視化、やらない言い訳なくす「SaleScience」

自動車業界向け金型メーカーのヤマナカゴーキンにおいて、新規案件が3年連続で30%以上増加(3年で2倍)し続けている。この躍進を陰で支えたのが、自社開発の営業支援システムを起源とする「SaleScience」(開発/販売・セーレンス)だ。案件数を伸ばす方程式は「活動量×案件化率」。多くのSFAが案件化率の改善に主眼を置く中、同システムは行動の可視化によって活動量そのものを3倍に引き上げ、泥臭く案件数を創出する。同ツールは、ヤマナカゴーキンの成功体験に、元キーエンス海外事業部長・藤田孝氏らの営業ノウハウを融合させて外販化された。だが、セーレンス社長(ヤマナカゴーキン専務)の山本忠司氏は「システムを入れただけで業績が上がるわけではない。使用の徹底による社内の反発や一部社員の離脱、結果が出ない辛抱の時期、営業組織の改革など、数々の痛みを乗り越える必要がある。しかし、その先には必ず結果が出る」と明かす。生半可な導入を拒み、組織の意識改革と経営者の強い覚悟を求める“やらない・やれない言い訳を全部つぶす”営業支援ツールは、いかにして製造業の営業構造を変革するのか。その実像を追う。 

コロナ禍で対面営業が制限されるピンチに直面したヤマナカゴーキンは、根本的な営業改革へと舵を切った。当時、営業担当者1人あたりのアプローチ数は月20件程度にとどまっていたが、これを月60件へと一気に引き上げる「活動量の急増」を断行した。 

2022年は耐え忍ぶ「辛抱の年」となったものの、2023年を起点に成果が開花。2025年には案件数・受注数ともに2倍以上へと躍進した。日本の中小企業は高い商品力と技術力を備えているからこそ、活動量さえ引き上げれば案件数は自ずと増えるという強い確信に基づいた戦略だ。 

「21年と22年は『受注金額は一切気にするな。新規訪問60件(面会)の活動量だけを達成しろ』と徹底させた」と、当時営業本部長を務めていた山本氏は振り返る。当然、ベテラン社員からは「そんなことで結果が出るか」と強い反発が起き、方針に納得できず会社を去る社員も出た。 

営業の基本サイクルは、アポ獲得、資料作成、面会、提案、日報(議事録)作成の繰り返しだ。同ツールは、この流れに沿ってスケジュールや面会結果を入力するシンプルな設計。作業自体は至って単純だが、活動量が完全に可視化されることで社内に適度な競争意識が発芽。改善点が浮き彫りになり、着実に成果へつながる仕組み。 

ただし、月60件の面会を達成するためには、業務と組織の構造改革が不可欠だった。営業担当者が抱えていた「営業以外の業務」を徹底的に削ぎ落とす。 

既存顧客への対応や事務作業は、これまで営業事務を担っていたチームを「インサイドセールス」へ再編して移管。営業は新規開拓に特化という完全分業制を敷いた。 

「単にシステムを導入するのではなく、組織改革を起こすための『物差し』として活用してほしい。単なる便利ツールや工数削減ソフトではないからこそ、営業変革に危機感を持つ経営者に覚悟を持って導入してほしい」と山本氏は強調する。 

■最初は拒否感、今ではツールの『ファン』に

ヤマナカゴーキンでこの営業改革を現場の最前線で見守ってきた営業企画担当は、「最初は『こんなものを入れても意味がない』と非協力的な雰囲気が漂い、現場もしんどそうだった。一定数の抵抗や停滞はあったが、徐々に順応した社員がチームを引っ張っていった」と振り返る。 

転機は2024年頃に訪れた。「少しずつ数字が出始めた頃、最初は反発気味だった同期が完全に腹落ちし、積極的にデータを入力し始めた姿が強く印象に残っている」と営業企画担当。また、従来はパソコン作業を避けノートに記録していたベテラン社員が、「過去のアプローチ履歴をすぐに手元で振り返ることができるので便利だ」と自らツールを活用し始めるなど、現場の意識は確実に変化していった。 

初期段階では、標準化によって個人のノウハウが共有されるため、「ベテラン独自の優位性が薄れるのではないか」という懸念もあった。実際、導入直後は若手や新人の底上げが先行した。しかし、ツール運用が定着すると、豊富な知識を持つベテランが蓄積データを活かして巻き返しを図り、組織全体の営業力が一段と底上げされる結果となった。山本氏は「改革の成果は、しっかりとボーナスで社員へ還元している」と微笑む。 

同システムの費用は、構築費や活用セミナー費を含む初期費用が30万円(税別)、10ライセンス付与の月額費用が6万8000円(税別)となっている。 

単なるITツールの導入にとどまらず、痛みを伴う組織改革をやり抜く覚悟があるか――。「SaleScience」は、変革を志す経営者に対し、厳しい問いを投げかけている。

セーレンス.jpg

山本忠司セーレンス社長



(日本物流新聞2026年9月25日号掲載)