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日本金型工業会、講演会を都内で開催

投稿日時
2026/02/27 09:00
更新日時
2026/02/27 09:00
左から日型工業・笠松氏、昭和精工・門脇氏、長津製作所・高橋氏、田口型範・岩間氏、マルスン・鍵山氏

現場の人材課題山積

(一社)日本金型工業会の東部支部は2月4日、「第51回 金型関連技術発表講演会」を都内で開催した。本講演会の締めくくりとして行われたパネルディスカッション「機械加工現場の効率化~事件は現場で起こっている!~」では、司会の笠松士郎氏(日型工業・技術開発チームリーダー)の進行のもと、金型メーカー4社の現場リーダーたちが登壇。深刻化する人手不足や高齢化、次世代育成といった「現場のリアルな叫び」が共有された。

議論の焦点となったのは、熟練技能者の減少に伴う技能承継の危機である。パネラーの高橋五郎氏(長津製作所・本社工場長)は、「かつては金型修理を溶接や手仕上げで直せる熟練者がいたが、現在はそのような人材がいないのが実情だ」とこぼす。以前は図面にない調整を熟練者が「暗黙知」で行っていたが、現在は数値化や3Dモデルなしには加工も修理も困難な状況に陥っているという。また、別の岩間崇将氏(田口型範・川口工場製造課課長)は、数年に一度しか製作しない大型金型の技術について「熟練工が定年でいなくなり、継承はギリギリの状態」と危機感を募らせている。

次世代を担う若手や中途、外国人材の育成も大きな壁となっている。門脇尚人氏(昭和精工・生産部製造課生産統括グループリーダー)は、中途採用者が図面を全く読めない事例を挙げ、「下地がない状態から一から教える方法が確立できていない」と語った。若手世代についても、「ドライバーを回す方向から手取り足取り教える必要がある」といった基礎知識の不足が指摘された。さらに、増加する外国人材に関して、「言葉での説明が正しく伝わらず、全く別の作業をしてしまうトラブル」「漢字の読解力不足」といった課題もあるとし、言語化や作業標準化の重要性が説かれた。

一方、効率化や自動化が進むマルスン・機械技術部係長の鍵山浩伸氏は「誰もが同じ品質を作れるようデータ化を進めている」と述べる一方で、手作業で達成感を得ていた技能が自動化されることで「仕事の楽しみや満足感が減ってしまうのではないか」と指摘。効率化の裏にある懸念も口にした。市場が大きく変化し課題が多重・多様化する金型業界において、人材面においても求められることが複雑化しつつある。



(日本物流新聞2026年2月25日号掲載)