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パナソニックコネクト、スパッタ81%減の新溶接機

投稿日時
2025/12/26 09:00
更新日時
2025/12/26 09:00
YD-350NR1はUSBで機能を拡張できるほか、溶接のモニタリングができる管理ソフト「iWNB」にも対応予定

価格を抑え初心者でも操作簡単に

パナソニックコネクトは1212日に、溶接性能と操作性を高めながら価格を抑えたフルデジタルアーク溶接機「YD-350NR1」を発売した。スパッタ(溶接時に飛び散る溶融金属)の発生量を従来機比で最大81%抑え、電気代とCO2排出量も最大22%減らせる。初心者でも簡単に溶接条件の設定や調整ができる機能も搭載。12月9日に豊中工場(大阪府)で開いた会見で、大塚隆史執行役員は「我々としても気合いを入れた商品」と力を込めた。現行機比で2026年度に150%と、野心的な販売台数を目標に掲げる。

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YD-350NR1を使った溶接実演の様子(129日、パナソニックコネクト豊中工場で)

様々な製品が高度化するにつれ、溶接工程における品質の担保が重要になっている。スパッタが付着すると外観や品質が悪化するため後工程で研磨が必要になり、溶接機にも低スパッタ化が求められるようになった。YD-350NR1はアークの追従性を向上させ、全電流領域で安定した溶接を可能にする。例えば溶接電流が160Aのときはスパッタ発生量を従来機から最大81%削減(低スパッタオプション搭載時)。よりスパッタが発生しやすい200Aでも38%低減する。除去作業の負担や、スパッタによる塗装はがれのリスクを減らすことが可能だ。

手袋でも使いやすい物理ボタンを残しつつ、イラストを表示する3.5インチのカラー液晶も搭載した。板厚から溶接条件を設定したり、接手形状や溶接速度を入力することで推奨の溶接条件を提案する「溶接ナビ」機能も設けている。さらに本来は熟練者の知見が必要な波形ベースの溶接パラメーターの設定を、「溶け込みを深くしたい」など溶接現象をベースにした選択肢を選ぶことで、直感的かつ微細に調整できる「溶接コンシェルジュ」機能も採用した。これらの機能で使い手をサポートし、溶接技能者が不足するなかでも高品質な溶接を支援したい考えだ。

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溶接現場では溶け込みの深さやアーク硬さなど、作業者が微妙な溶接条件を細かく調節する。それを可能にするのが溶接パラメーターという機能だが、電流や電圧を波形ベースで調整するため初心者には難しかった。溶接コンシェルジュ機能ではこうした微調整を簡単に行えるよう支援する。画像は同機能で溶接ワイヤー先端の玉の大きさを微調整したもので、2回目の溶接スタートをよりスムーズにできる

脱着可能な冷却ファンや天板・側板が取りはずしやすいケース構造を採用し、メンテナンス性も向上。従来の低スパッタ溶接機では必要だった母材電圧検出線も不要になり、取り回しがよくなった。

YD-350NR1は旗艦モデルより安価だが高い溶接性能を維持し、市場で好評だったベストセラー機(G・Vシリーズ)の操作性を継承した機種という位置づけとなる。価格はオープンだが50100万円ほどの従来機に「近い価格」になるとみられる。従来機や他社の溶接機からの更新を目指し、ユーザーは自動車、建設、建機など限定しない。政府が重点投資分野に掲げる造船業界でも「商機が出てくると思う」(大塚氏)とする。「(溶接世界市場の成長率を)超える成長を新製品や新たなサービスで成し遂げたい。売上はもちろん市場占有率、ユーザーへの貢献度合いを上げたい」

同社は1957年に溶接機事業を始め、2000年から現在までで200万台の溶接機をグローバルに出荷。インバーター方式をさらに細かく制御できるフルデジタル方式の溶接機を業界に先駆けて開発している。

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パナソニックコネクトの大塚隆史執行役員