ハイブリッド溶接で強度確保
ダイヘンは、アルミニウム合金と合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA材)の異材接合技術を開発した。スパッタ発生量を大幅に抑える「シンクロフィード技術」を応用したもの。古河電工独自のビームモード制御と組み合わせたレーザ・アークハイブリッド溶接法として、実用的な強度を可能にした。
車体軽量化による燃費向上が求められている自動車業界で普及している亜鉛めっき鋼板向けに開発した。想定した材料は、めっき層の付着強度が強く、プレス性、溶接性、塗装耐食性に優れているGA材。アルミとの溶融接合で課題とされる金属間化合物の成長を抑えた。
レーザ光をこれまでの連続照射からパルス照射に変更。高いピーク出力でGA材のめっき層を除去して接合性を向上させたほか、レーザ未照射期間に入熱を抑えることで金属間化合物の生成を抑制した。
6000系アルミとGA材の接合において、一般的な4000系ワイヤとの組み合わせで引張強度110MPaを可能にした。この強度は「JIS規格スポット溶接部の引張せん断強度換算値でA級判定基準の2倍以上に相当する」(溶接機事業部)という。
アーク溶接をベースにした異材接合技術であることから、現状の溶接ラインに使用している治具などの設備を流用できるうえ、「構造部材の形や生産工程を大きく変更することなく、構造部材の素材をアルミに変更できる」としている。リベットや接着剤などに比べて工程時間が半減し、特殊な材料が不要な点もメリットに挙げている。
(2020年12月10日号掲載)