広島どてらい市、地元企業出展などご当地色濃厚
- 投稿日時
- 2024/03/27 18:00
- 更新日時
- 2024/03/27 18:00
展示商談会「広島どてらい市」(主催店=21社/出品メーカー157社)が3月8日~9日、広島市中小企業会館(広島県広島市)で開催された。2日で計2654人(計画2800人)が来場。受注額は18億9659万円(計画18億5000万円)となった。
(写真=左から山善の岸田貢司社長、やまびこジャパンの水嶋伸介社長、シージーケーの下河内一成社長)
開会式で主催店を代表してシージーケーの下河内一成社長は「広島では半導体の供給不足が回復し自動車関連の生産が回復している。また人手不足が深刻化し自動化や省力化ニーズが高い。多くのお客様は3月決算で『何かいいものがないか』と来場されている」と購入意欲の高まりを指摘して鼓舞した。続いてメーカー代表のやまびこジャパン水嶋伸介社長が「山善のパーパスは『ともに、未来を切拓く』であり、ステートメントには『現場』『課題解決力』『人間力』というワードが出てくるが、それがすべて求められるのが広島どてらい市だ」とした。山善の岸田貢司社長は「株価はバブル期を超えたが、もう一つモノづくりに元気が欲しい。バブル期は、日本は筆頭を走り、中国や韓国のモノづくりを支援していた。今日はそうした国が力をつけライバルとなっている。その中でも日本の製造業者は技術を磨き続けている。我々はしっかりサポートしていきたい」と事務局本部を代表して話した。
■脱炭素、物流問題に注力
地元企業のキャステム(広島県福山市)が「デジタルキャスト」で作った実物大ロビンマスクを展示して注目を集めていた。古くからある鋳造技法の「ロストワックス製法」の工程に3Dプリンタを活用し進化させたデジタルキャスト。樹脂素材模型を製作することで金型レス(型費不要)で鋳造品を製造する。同社の岩井駿佑副主任は「金型を使用しないので、一つから対応できる。開発段階の試作であれば、形状変更なども多いので、柔軟に対応できる技術だ」とした。ステンレス鋼で作ったロビンマスクを商品化しているが重量7?`と装着が難しかった。今回は展示会で実際に被れるように軽いアルミで制作した。
(写真=デジタルキャストで製造したロビンマスクをかぶるキャステムスタッフ)
同じく地元企業のホーコス(広島県福山市)は自動切りくず圧縮機「チップイーター」をアピール。かさばる金属切りくずを圧縮し固形(ブリケット)化。無圧縮に比べ、運搬回数を最大75%削減できるなど「2024年問題」にも対応する。担当者は「小型でより高い圧縮を可能にした。ラインに一つといった小回りの利く使い方ができる」とする。また「スラッジに関して、水を絞るという用途で使っているユーザーさんも多い」(同)とする。チップイーターの大処理タイプも発売した。
広島市場を狙って初出展したのがフアクトだ。「中部や関東では導入実績が多いが広島ではまだまだ。自動車関連産業が多いという点は中部と共通しており、十分狙っていける市場」と前田将寿さん。CAD/CAMソフト「Fusion」で作成したデータを用いブラザー工業・5軸マシニングセンタ「U500Xd1」で加工提案を行った。「Fusionはサブスクリプションで使っていただける。購入だと、一気に代金がかかるが、バーションアップ対応も含めて一定の金額で利用できる」(同)と利点を説明した。
広島地区初お披露目の工作機械、ファナック「α?D28LiB5 ADV Plus Y500」の前にも人だかりができていた。EV部品などの大型ワークに対応するためY軸ストロークが100?_拡張され500?_に。Y軸5段テレスコピックカバーの採用などにより、機械全長は従来仕様+65?_に抑えた。隣では北川鉄工所がファナックとコラボし、BT30MCに搭載できるコンパクト設計のローラギヤカム構造NC円テーブル「RKT500」を展示。担当者は「40番の機械でないと取り付けられなかった直径500?_、高さ270?_の円テーブルを30番に取り付け可能にした。ユーザーはトータルコストを抑えられる」と説明した。
2024年問題が目前に迫る中、物流に関するソリューションが多く見られたほか、脱炭素を目指す製品も百花繚乱だった。
(写真=広島では初お披露目となるファナック「α-D28LiB5 ADV Plus Y500」)
鈴木製機は垂直自動搬送機「AKS-100」の実機を展示し、迫力のある提案となった。コンパクト設計で、狭い建物でも設置しやすいのが特徴だ。奥山恵治マネージャーは「コンベヤに荷物を載せて運び入れる機械だ。直接人が搬入しないので昇降機に該当しなくなる。今新たに昇降機を設置するためには建築基準法の確認申請などが必要で設置できないことも多い」と話した。確認申請や完了審査が不要な垂直自動搬送機で、違法リフト問題の解消を目指していく。
脱炭素ではユキワ精工が「グリーンG1チャック」を提案。ホルダ内部に振動減衰構造を設け、高速・重切削での振動を減衰。エンドミル加工時、今までのツールホルダーよりも高送りが可能となり、サイクルタイムを短縮し生産性が向上する。「一つのワークに対する稼働時間が減れば消費電力がカットできる。また工具寿命が延びる。20%伸びたというユーザーが多い」(佐川昌平所長)とエコ性能を訴えた。同チャックが一本売れるごとに同社が「緑の募金」に寄付する「Go Green Challenge」も実施している。
(2024年3月25日号掲載)