物流・鉄道分野へ普及目指す
THK(寺町彰博社長)は、高負荷容量、耐久性に優れたユーティリティスライド「ATG」の受注を1月20日から開始した。
「ATG」は、アウタ/インナレールが前後に伸縮するテレスコピックタイプのスライドレール。2条のボール列が安定したスムーズな動きを実現し、スライドレールならではの取付けの容易さも備えている。
「スライドレールは、これまでATMや自動販売機をはじめ、各種事務機器のスライド部で最も普及が進んでいます。しかしその一方で、さらなる高負荷容量、耐久性の向上を求めるユーザーニーズから、スライドレールとLMガイド双方の利点を兼ね備えた『ATG』のような中間的なユーティリティ・グレードの製品を開発した」(同社・星出薫産業機器統括本部技術本部?)。
同製品は、アウタメンバ、インナメンバに焼き入れ焼き戻し処理を行い、表面硬度HRC55以上を確保、許容荷重や転がり疲労を向上させている。さらに、調整能力を向上させるためにサーキュラーアーク溝を採用。「アウタメンバ側のすべり量とインナメンバのすべり量の差が小さく、リテーナずれを抑止するので、従来品(ゴシックアーチ溝)に発生しがちな、リテーナ位置ずれによるストロークエンドでの早期ロックが無くなった。また高精度の要求は必要ないため、無研削によりコストダウンを図っている」(星出薫産業機器統括本部技術本部?)。
すでに駅のホームドアなどへ導入されているが、今後は自動倉庫の搬送台車コンテナ取出し部、鉄道車両用ドアの開閉部、航空機用旅客シートのスライド機構等、物流や鉄道分野を中心とした普及を目指していくという。
(2021年2月10日号掲載)