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日販 N-PORT新座、自動倉庫導入で書籍以外も1システムで

投稿日時
2025/01/09 14:05
更新日時
2025/01/09 17:37
ラピュタロボティクスのラピュタASRS

(埼玉県新座市)

出版取次最大手の日本出版販売(日販)が、持続可能な出版流通の実現に向けて改革に取り組んでいる。2024年10月に稼働した「N-PORT新座」(以下、新座)を皮切りに、27年まで物流拠点の再編を進める考えだ。新座にはラピュタロボティクスの自在型自動倉庫「ラピュタASRS」を大規模に導入するなど、物流・マテハン機器への投資を軸に新たな事業展開を模索する。


日販を最大手とする出版社と書店間の流通を担う出版取次は、1日約200点もの新刊が発売されると言われる国内の膨大な出版数と全国の書店を結びつけるだけでなく、出版社と書店間の信用保証を行うなど、日本の出版業界の発展を支えてきた。

一方で現在、人口減少や高齢化といった社会課題に加えて、顧客ニーズの多様化やデジタルシフトなどによって紙の書籍の市場が減少傾向にあるなど苦境に立たされている。日販・物流企画部部長の大熊祐太氏は「業量減少や物流施設の老朽化、施設の維持コストの上昇など業界特有の課題に加えて、人手不足や燃料費・賃金の上昇もあって、書籍1冊当たりの流通コストは年々上昇している」と語る。

同社はそうした市場変化に合わせて物流拠点の改革に取り組んできた。20年には入谷営業所で行っていた雑誌の送品を都内の拠点に統合、22年には王子流通センターでトラックバース予約受付システムを導入し9割以上の車両で待機時間を30分未満に短縮した。

書籍以外も対応

今回稼働した新座もそうした物流改革の一環で、王子など3拠点を統合。延床面積7670坪(約2万5400平方㍍)の業界最大規模の流通倉庫となっただけでなく、書籍に加え文具や雑貨も同一の倉庫で扱えるようにした特徴を持つ。

「近年、書店は文具や雑貨などいろいろな商材を扱うようになっている。新座では、書籍向けのISBNコードだけでなく、一般商品のJANコードなども扱える新システムを実装した。書籍はもちろんのこと、書店の幅広いニーズに柔軟に応え売り場を支えていく」(大熊氏、以下同)

こうした幅広い商品を効率的に扱えるようにしたのがマテハン機器で、新座には椿本チエインのループ型リニソートやDAS(Digital Assort System)などに加えて、物流向けロボットシステムを手掛けるラピュタロボティクスの自在型自動倉庫「ラピュタASRS」を導入。天井高付近まで設けられた9段(約5㍍)の自動倉庫は、90台のロボットと9000個の専用コンテナ、2台のピックステーションなどからなる。

「今後、更なる人手不足が心配される中、単純作業はなるべくロボットなどに任せていきたい。ラピュタASRSには、少量多品種で人のピックだと時間がかかってしまう細かいアイテムを格納し、誰でも生産性を高められる仕組みを目指した」

大熊氏は「豊富な在庫だけでなく、納品を書籍とワンパッケージ化できるため店頭の作業負担も軽減できると見ている。書店の売り場を物流で支えるための投資だと考えている」と語り、2年目を目途にセンターの満床・黒字化を目指す。それに併せて、今後空きスペースを出版社倉庫や3PL事業向けに展開する考えも示した。

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日販・物流企画部部長の大熊祐太氏



(日本物流新聞2025年1月10日号掲載)