選べる・試せる・実感できる展示場
兵庫県加古川市のオークラ輸送機本社。ここに、新たなマテハンショールームが誕生したと聞いて足を運んだ。工場内に設けられた通路を進む。と、現れたのはロボットや最新のマテハン機器をフル活用した数々の自動化システム。「キーワードはご覧の通り自動化。ロボットを中心に、オークラ輸送機の自動化ソリューションを展示しました」。案内してくれた藤本淳一執行役員R&D統括部長はショールームのコンセプトをそう表現する。
例えば「ピースピッキングシステム」は、ケース内に雑多に置かれた様々なワークのハンドリングを自動化できるシステムだ。3Dカメラでワーク形状を認識することで、最適な姿勢・角度でロボットがピッキングを実施。「内蔵のAIによって使うほど精度が向上する」という点も特長で、事前のマスタ登録なしでピッキング可能という高い柔軟性が来場者の目を引く。
複数の自動化技術を掛け合わせた展示もある。物流施設の入出荷工程を模したというショールーム奥の展示がそれで、システムを構成するのは最大1?dの積載荷重をもつAGV(自動搬送ロボット)と3Dビジョンシステムを採用したパレタイズ・デパレタイズロボットだ。パレタイズに用いるのは、6軸ロボット「Ai6F」。多軸による細かい動きが可能で、パレットはもちろん「需要が多い」というカゴ車やカートラックに対する自動積み付けにも対応できる。パレタイズロボットで積みつけられたパレットはAGVで搬送され、運ばれた先でデパレタイズロボットによりワークが取り出される。これを応用すればケース品のピッキングロボットとなり、すでに多くの入出荷現場に導入されているという。
さらに同じエリア内には、AGVとピッキング支援システム「PTIシステム」を組み合わせたピースピックシステムも展示。AGVがピッキングステーションに棚を搬送すると、PTIシステムが運ばれてきた棚の間口にLEDライトを照射することで誤ピックを防止するものだ。ピッキング支援システムに多い間口に固定の表示器があるタイプと異なり、投入間口の上下を間違いにくい。作業者はLEDに照らされた間口に商品を投入するだけで良いため、ミスピックを大幅に軽減でき、衣料メーカーの配送センターなどで実績を積んでいるという。
旬の自動化設備がずらりと並ぶなど見どころが多い同ショールーム。ワークを持ち込んでのピッキング・積付けテストにも対応しており、「昨年12月の稼働開始以降、来場者の反応も上々」(藤本氏)のようだ。自動化に悩む企業は一度訪れてはいかがだろうか。
(2022年2月25日号掲載)