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山善×ロジライズ、ロジスEC関東が2026年4月稼働

投稿日時
2026/04/01 09:29
更新日時
2026/04/01 09:38
ロジスEC関東が入居する「LOGI’Q 白岡Ⅱ」の外観イメージ

人を主役に据えるEC新拠点、自社運営で現場力再構築

ロジライズと山善が4月に稼働させる「ロジスEC関東」は、拡大する山善 家庭機器事業部のEC需要に対応するための新拠点だ。だが、その狙いは単なる処理能力の上積みではない。あえて自動化一辺倒に走らず、人が現場で考え、改善する力を鍛え直す。同事業部向けでは約30年ぶりとなる自社運営の拠点は、物流事業のプロフィットセンター化をにらむロジライズにとって重要な起点となる。

「省力化」「自動化」が物流現場の合言葉となるなか、ロジライズと山善が4月に稼働させる「ロジスEC関東」は、あえて「人」を主役に据えたEC物流拠点である。その証左として、自動倉庫やピッキングアシストロボットなど、物流関連の展示会でよく見かける自動化設備はほぼ入っていない。現場にはネステナーと専用パレットが整然と並び、作業者が商品を一つ一つピックしていく。

「ロジスEC関東で扱う山善 家庭機器事業部の商材は、ハンディファンなどの小型家電から、電子レンジや冷蔵庫といった大型家電まで多岐にわたる。加えて、複雑な荷合わせを必要とする生産財領域とは異なり、注文と商品が一対一で対応する出荷が多い。自動機を入れるよりも、人がパレットから直接ピックする方が効率的だと判断した」

そう話すのは、同施設の運営を担うロジライズの土屋守執行役員だ。土屋氏は「機械だと1日の処理能力が決まってしまうが、人は工夫次第で能力を高めたり、時間や工程を調整したりし、機械以上のスピードを発揮できる」とし、人が状況に応じて柔軟に現場を組み替えられるメリットを強調。特にEC出荷は波動が大きいため、「いきなり設備投資するのではなく、当面は人力中心で稼働させる」決断に至った。

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ロジスEC関東の運営を担うロジライズの土屋守執行役員。同社 ワーキンググループ東日本統括部 統括部長として東日本全域を管理する傍ら、同施設の立上げ責任者も務める。

こうした人主役の現場づくりを可能にしたのが、家庭機器事業部向けでは約30年ぶりとなる自社運営という選択である。もっとも、ロジライズにおいて自社運営が全くの異例というわけではない。ロジス大東やロジス福岡など、生産財領域では現在も自社で回している拠点もある。しかし、家庭機器事業部向けとしてはこの数十年で3PLへの委託が進み、社員は委託管理が主な業務となっていた。

「アウトソース化を進めていくなかで、現場社員に管理する力はついた一方、現場力がやや低迷していた。ここでは社員が現場に入り、自分たちで考え、改善することで鍛え直す場にしたい」

こう土屋氏が話すように、ロジスEC関東はロジライズが現場を再び自らの手に引き戻すための重要な起点に位置付けられる。

■コストセンターからプロフィットセンターへ

この大きな方針転換をするにあたって、山善グループであるロジライズが「身内」として優遇されたわけではない。土屋氏が「同じ土俵で」と強調するように、複数の3PL企業とのコンペに参加し、同一条件で提案内容を競った末に受注を勝ち取った。

評価を受けたのは保管効率の高さだ。他社が示した保管量に対し、ロジライズはさらに効率を高めた運用を提案した。棚割りや動線設計などこれまで積み上げてきた現場知見が評価された。他にも、「変形労働時間制」を導入することで、6時から20時までの長時間稼働に加え、土曜日や祝日も休まず出荷を行う体制を整えるなど、外部委託先では対応が難しく、コスト増に繋がりやすい部分を解消。急増するEC出荷への対応やリードタイム短縮など複合的に折り重なる課題に対し、人を中心に据えた柔軟かつ高効率な運用を確約したことが決定打となった。

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倉庫内にはエレクターの逆ネステナーと専用パレットが並ぶ。ロジスEC関東では主に季節商品など動きの大きい商材を扱う。一度の入庫量や出庫量が多いため、バラして棚に入れるのではなく、パレットのまま管理する

現場を取り戻し、これまで積み上げてきた現場知見をさらにブラッシュアップした先にあるのが、物流拠点のプロフィットセンター化だ。同施設では、高い保管効率を活かし現場に余剰スペースを生むことで、山善以外の企業の荷物の保管・運用も取り扱う予定。これは、山善グループとしてコスト削減と売上貢献に寄与するだけではなく、多様な商材を扱うことで知見を広げ、物流品質のさらなる向上、外販事業の拡大につなげることが狙いだ。他にも、ECプラットフォーマーに代わり、ユーザーへ直送する「ドロップシップ出荷」の拠点としての活用も視野に入れるなど、施設のポテンシャルを余すところなく引き出す多角的な戦略を描く。

事業が広がり業務が複雑化するにつれ、現場の負担も増していく。ロジスEC関東は人の活用にこだわりながらも、そこに固執しているわけではない。そうした未来を見据え、AMRによるパレット搬送や自動封函機などの省力化機器の活用も検討する。「機械を入れれば必ずコストが下がるという保証はない。しっかり試算したうえで判断していく」と土屋氏。

ロジスEC関東で現場固めを行ったその先に、ロジライズが描く次のステージがある。 




■ 初の全館空調導入


人を軸に据えた現場で欠かせないのが、働き手の確保と定着だ。ロジスEC関東では、ロジライズの拠点としては初となる全館空調を導入し、夏の酷暑と冬の底冷えに対応する。他にも、従業員の通勤方法に合わせて駐車場の確保を予定するなど、働きやすい環境整備に努めている。

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【インタビュー】山善 執行役員・物流統括管理者(CLO)/ロジライズ 社長 松田 慎二 氏




(日本物流新聞2026年3月25日号掲載)