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モノづくり入門

【第31回】いまさら聞けないモノづくりの基礎知識 
測定----その(2)

投稿日時
2026/01/23 15:54
更新日時
2026/01/26 11:46

測定なくしてモノづくりは完遂しません。測定はモノづくりのフローの重要工程といえます。しかし測定工程が全体の生産性を妨げるケースは過去から多く、今も一定程度そうでしょう。

測定工程がボトルネックになってしまうのは容易に想像できます。前回述べたように正しい公差判定を行う測定機器には、加工時の要求精度をあたま一つ、ふたつ上回る精度が要求されます。だから高額な3次元測定機(等)を、熱や振動にさらされる加工ラインから離れた恒温室に置いて使うのが常識、いや必須となります。しかし、測定室で測って再び加工ラインに戻し追い込み加工するといった流れになると、加工ラインと測定室をモノが行ききしてしまい、かつ都度の段取りや位置決めも必要で、いくら加工の効率を上げても全体の生産性は上向きません。

合理化するには、測定機器が測定室を抜け出し、加工ラインの近くや機械内に移動し、加工と同時並行で測るスタイルへ変えることが有効です。この理想形が、温度変化による影響を回避する補正技術や各種アプリの活用、測定データの検証を通じ現場に降りてきています。

国内測定大手M社の3次元測定機には温度10~40℃の広いレンジで測定精度を保証できる機種があり、順調に普及中です。ニアライン測定、インライン測定と呼ばれ、昨今は測定結果を踏まえて動く多関節ロボットで、ワークを加工機から測定機へ、また測定機から加工機へと自動で出し入れして再加工・再測定するスタイルも増えています。ボトルネックを排し、工程集約を実現した形です。

また欧米から遅れていた機上計測も日本で本格普及の緒についた感。機内でワークや工具をリアルタイムで測定し、スピードや高生産性、省人化に貢献します。加工品質向上にもうってつけで、測定値の傾向や、測定室での測定結果との比較検証を通じ、測定の信頼性も高めています。全数測定においても時間ロスが少ない加工プロセスが作れます。

次回も測定工程の効率化に着眼した記事にします。3DCAD(3DAモデル)の測定への活用について昨今の動きを見ます。


トレーサビリティ準拠へ、落としどころは?


測定は「測定結果の確かさ」がなによりキモ。これを担保するには絶対原器から連鎖するトレーサビリティの確立が問われます。一方で「不確かさ」が多い機上測定は、その測定結果が参考になってもトレーサビリティへの対応=測定結果の確かさという点ではエビデンス不十分とされます。

「最後は測定室の3次元測定機で」といわれるように、生産性向上に直結する機上測定と、トレーサビリティに沿った測定を組み合わせることが肝要です。しかしどのように使い分けるかはまちまちのよう。その判断と閾値の最適設定が隠れた競争要因?





(日本物流新聞2026年1月25日号掲載)