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モノづくり入門

【第30回】いまさら聞けないモノづくりの基礎知識

投稿日時
2026/01/09 14:45
更新日時
2026/01/09 14:48

測定——その(1)

測定無くしてモノづくりは完遂できません。決められた誤差内におさまっているかどうか、その証を「はかり」、保証し得て初めて、職業としてのモノづくりが成立します。だからモノづくりは一面「はかること」と言えます。とすれば「はかる」に関し、その手段は? 精度は? 信頼性の担保は? すべての部品をはかるべきなのか? といった問いかけがでてきますが、これらを今の金属加工の状況になるべく沿う形で複数回にわたり記事にします。

その前にこの分野で使う「測定と計測」の2つの言葉について軽く触れておきます。測定と計測はほぼ同義語ですが、身体測定を身体計測とはふつう言いません。逆にデータ測定と言うより、データ計測と呼んだほうが馴染む場合があります。この違いを詳しく知りたい人は調べていただくとして、ここでは簡単に測定は単に数値化すること。対して計測は目的や方法などのプロセスを含む言葉と捉えておきます。計測は測定を包含する言葉になります。

さて、半導体分野などの微細高精度化の進展はいま、測定の限界を超える勢いで進んでいます。100分の1ミリの誤差も許さないといった話は、精密加工でもう過去のこと、昭和終盤頃から先端分野で1000分の1ミリ=即ち1ミクロン台の誤差が求められるようになり、今はモノにより100分の1ミクロン=10ナノまで許容公差が狭まっています。この厳しい公差は、寸法というより、主に面の粗さ(面のでこぼこ)を概ね2ケタナノ以内にという要求を指すことが多いのですが、さらに近年は「シングルナノ」(つまり100万分の1ミリ台!)の要求も一部到来しています。

こうしたなかで測定に求められるハードルは上がっています。仮に100分の1ミリを保証するには、測定機器の精度として1000分の1ミリレベルほどの正確さが必要で、つまり測定には頭一つかふたつ抜きんでた精度が要求されます。

その宿命は、ノギスの場合も、3次元測定機も、あるいは撮像データを使うなどして計測する場合でも乗っかかってきます。

測定精度は「トレーサビリティ」で保証されます。各々の測定機器は、基本、世界共通の基準(標準)に連綿とつながっていることが肝心要になります。


ほんまかいな


ナノ加工なる言葉に対し当初は「ほんまかいな」の疑問が精密加工技術者の間でも出ていました。本文に記したようにナノの精度を測るには、その上をいく測定システムが必要なわけで、測定大手メーカーからも「無理」と聞いた記憶があります。標準的な計測方法はやがて確立されていったようですが。また、ある工場では「当社の磨きはオングストローム級(0.1ナノ)。水で研磨している」なる言葉に出会ったことも。この工場は超精密部品で名を馳せていて否定はできませんでしたが、やはり「ほんまかな」の半信半疑、コメントは記事にしなかった次第。

(日本物流新聞2026年1月10日号掲載)