現場を助けるパワーツール

【電動・エアー・油圧工具】
あらゆる現場で「ヒト」にまつわる問題が噴出している。人手不足を筆頭に、人件費の高騰、人材の高齢・多様化などが積み重なり、過去に類を見ない状況が発生している。そうした状況に役立つのがパワーツールだ。

【画像1】タイトルイメージ=建築分野で活躍する育良精機のコードレスパンチャー
【画像2】アサダ、育良精機、東日製作所、TONE
【画像3】西田製作所、日東工器、日東造機、パナソニック
【画像4】ベッセル、マックス、室本鉄工、ロブテックス

建築分野で活躍する育良精機のコードレスパンチャー




電動、エアー、油圧など、現場の状況にあわせた省力・省人化製品が選べるだけでなく、現場と近いからこそのニッチな要望を反映した製品群が魅力だ。近年、バッテリー性能の向上に合わせて、これまでエアー式や油圧式工具でしか行えなかった作業をバッテリー式ツールへ置き換える流れもある。本特集では現場で求められているパワーツールに着目し、メーカー各社が力を入れているイチ押し製品などを紹介する。

進むコードレス化

大阪万博需要はこれからか

東京オリンピックが閉幕した今、次なる建築・建設現場の中心と目されるのが大阪だ。2025年に開かれる大阪・関西万博(大阪万博)の経済波及効果は約2兆5千億円との試算もあるように、今後、開催に向けた準備に合わせて、パワーツール需要の増加にも期待がかかる。作業工具メーカーの幹部が「大阪万博開催の恩恵はまだ感じていない。これから本格化すると期待する」と話すように、パワーツール製品の商機はこれからだ。コロナ禍で止まっていた都市開発は、首都圏や札幌、九州などを中心に既に活発化してきている。インフラ設備にとどまらず、ホテルやオフィスビルなどへと開発が移行すると、25年以降も続く息の長い需要となるとみられている。

盛り上がりを見せている建築・建設分野であるが、現場で特に求められてきているのが、コードレス式のパワーツールだ。リチウムイオン電池の進化によるバッテリー性能の向上とともに、できることを増やしてきたコードレス製品だが、「パワーが足りない」といった認識から、操作性が良いや電源の確保が必要ない、電圧降下の影響がないといった、コードレスならではの魅力が現場で周知されつつある。

「36Vバッテリー搭載でAC100Vの電源を確保した場合と変わらないパワーを得られるようになった。工具の性能が良くなっても作業者ができる1日の作業量には変化がないので36Vで十分という声も多く聞く。今後はより作業者が使いやすい製品づくりが求められる」(作業工具メーカー)

パワーを求めれば求めるほど、バッテリーは重くなる。ボッシュの「BITURBO(倍ターボ)コードレスハンマードリル」がハードとバッテリーを最適化することで、18V仕様ながらコード式と変わらない作業性を実現したように、これからはより扱いやすい製品づくりに焦点が移行していきそうだ。

現場で役立つ! イチ押し電動・油空圧工具

【アサダ】電源気にせず使える充電式真空ポンプ

コードレス仕様の「充電式真空ポンプ 4CFM」は容量6Ahのリチウムイオン電池を2個使用し、片方の電池残量が少なくなったら自動でバッテリの切り替えを行うことで、約1時間連続稼働できるオートスイッチング機能を搭載。ポンプ能力がツーステージ/3Paabs.(23ミクロン)、排気速度を毎分113Lで、業務用冷凍空調設備の配管の真空引きで活躍する。100V電源タイプではビルオフィス内での電源確保やブレーカーが落ちるリスクを考慮しなければならなかったが、バッテリ式では不要に。同シリーズのルームエアコン向け「充電式真空ポンプ1・5CFM」は本体重量が3.6kgグラムと軽量。持ち運びしやすく、作業時間短縮と効率化をかなえる。

【育良精機】充電式採用で作業性向上の穴あけ機

建物の修繕・改修などのリニューアル工事の増加で需要が増えている育良精機の「コードレスライトボーラーISK-LB30Li」は、シリーズ初の36Vモータ搭載でコードレス式。100V電源を使わずとも現場での穴あけ作業に力強さと利便性を付加した。本体固定に永久磁石を採用したため、磁力を保持した状態でバッテリ交換が可能。本体固定に電力を使わないため、より多くの穴あけを実現し、磁石用スイッチを切るとモータも停止するなど、作業性と安全性を追求した。さらに、工具レスでの刃物交換や、刃物の中心をLEDで照射できる便利な機能も多数搭載する。

【東日製作所】簡単操作の全自動トルクドライバ

東日製作所の「PTA-BTシリーズ」はBluetooth搭載のバッテリ式全自動トルクドライバ。引き金を引くだけで操作でき、設定トルクに達すると自動で止まる。締付精度は±5%、締付ボルトの目安はM5~M8程度、締付トルクは2~10Nm。シリーズで2機種を用意する。

トルクセンサを内蔵し、トルク制御や締付トルクの全数データ管理に最適。Bluetoothでデータ送信や締付条件の設定も行える。角度センサも内蔵しているため、規定の角度に達せずにトルクアップしたネジやボルトの「焼き付き」「斜め入り」「2度締め」の検出も可能。締付けの本質的な信頼性向上に期待できる。

【TONE】大型ボルトの締結ならコードレスナットランナー


有線電動工具のコードレス化に取り組むTONE。取り回しの良さや電源確保が必要なく、電圧降下の影響を受けないなど、コードレス化の利点は多い。5機種(10sku)のラインナップで150Nm〜2100Nmのボルト締結が可能。高精度のトルク制御や低騒音・振動といった特長もあり、産業機械からプラント、建機、トラック、航空機等々幅広いフィールドをカバーする。ソケットや先端形状などカスタムオーダーも可能で、あらゆる現場のボルト締結の課題解決が期待できる一品だ。

「西田製作所】スマホで設定変更可能な充電式油圧工具

Bluetoothバッテリを標準搭載しているため、スマホでスピードなどを変更できる

業界最多のマルチヘッドを誇る西田製作所の充電式油圧工具「NC-E750-36X」シリーズは、36Vブラシレスモータを搭載したマルチパワーツール。Bluetoothバッテリを標準搭載し、スピードやスイッチの遊びをスマホで設定可能にした。

圧着性能は世界最速レベルの250㎟端子の圧着を7秒台(戻し前の計測平均値)。圧着回数は4.0Ahバッテリの場合、14㎟端子で1017回、250㎟端子で229回(新品バッテリ・フル充電時)。本体重量はバッテリ搭載で4kg以下と軽量で、バッテリ付属のタイプにはスマホ充電可能な充電器が付属する。

【日東工器】AC100Vと同等性能の無線面取り機

CLMB-0202

創業以来、「省力化・省人化」をテーマに人と環境に対する負荷の少ない製品の開発に注力してきた日東工器。36Vのハイパワーバッテリと2枚刃仕様のチップを採用したコードレス面取り機「ミニベベラー CLMB-0202」「サーキットベベラー CLCB-0202」はAC100V仕様の工具と同等のスムーズな面取り作業が可能だ。従来のベベラーはAC100V仕様とエア工具しかなく、コードがついているため取り回しに難があった。本製品はコードレスのため、電源やエアの取れない屋外や高所、タンク内などの作業で取り回しの改善に貢献できる。

【日東造機】金型交換不要のアングル加工機

日東造機の小型アングル加工機「FM-30」は、標準セットだけでステンレスアングル75㎜×板厚6㎜の加工が可能。Vノッチやコーナーカットといった金型が組み込まれているため、レバーの切り替えだけで5種類(Vノッチ・アングルベンダー・90度コーナーカット・スミ切り・穴あけ)のアングル加工ができる。

本体と油圧ユニットが分かれており、加工時に火花が出ないため、工場内設備としてだけでなく解体現場などにも持ち運びやすく、安全に使用できる。ランプベースの調整をすれば位置あわせが簡単に行えるなど、作業の簡素化・効率化に貢献する。

【パナソニック】インパクトドライバで圧着&ケーブル切断

圧着アタッチメント「EZ9HX502」

2021年に発売された「EXENA」シリーズの充電インパクトドライバ「EZ1PD1」。98㎜ヘッドの取り回しの良さと独自の動作制御による直感操作が持ち味で、建築業界のプロの現場で高い支持を得ている。さらに今年1月には圧着アタッチメント「EZ9HX502」と、ケーブルカッターアタッチメント「EZ9HX503」がシリーズに加わった。

ともにEZ1PD1にワンタッチ着脱可能で、ケーブル切断と圧着を大幅に効率化できる。45度刻みに8方向の取付が可能で、現場の状況に左右されないストレスフリーな結線作業を実現。発売以来、好評を博しているという。

【ベッセル】汎用的に使える電ドラボール

2018年12月の発売以来、絶大な人気を誇るベッセルの電ドラボールシリーズ。バッテリー式インパクトドライバーよりも小型軽量かつ、手回しドライバーのように使える電動工具。2022年4月に追加した電ドラボールプラス「No.220USB-P1」はテーマ「『電動×手動』は次のステージへ」を掲げ、作業内容に合わせてスピードを低・中・高の3段階(毎分280回転/1.2N・m、毎分340回転/1.6N・m、毎分400回転/2.0N・m)に切り替えが可能。落下防止コードが取り付けられるので、高所作業でも安心して使える。USB-タイプCを採用した点も好評。

【マックス】金属屋根施工を省力化するねじ打機

建築・建設現場での作業効率化製品の開発を行うマックスが近年注力しているのが、ガルバリウム鋼鈑を中心とした金属屋根施工の効率化だ。ガルバリウム鋼鈑屋根は、耐用年数が長いなどの理由で屋根材としての採用が増えている。業界初となる屋根板金施工用ねじ打機「板金ターボHV-R41MR1」は「楽に速く施工できる」をコンセプトに、ビット先端とねじの嵌合形状に、ハイオスが開発した「インタトルク」を採用。ビット先端がねじ頭にがっちりかんで外れにくいため、1本約0.5秒でのねじ締めを可能にした。新築での直貼りの他、負荷の高いカバー工法にも使用可能。

【室本鉄工】オートスイッチ対応のエアニッパ

エアツール数多く手掛ける室本鉄工(ナイルツール)のオートスイッチ対応複動エアニッパ「WS30S」は、エアシリンダ内にオートスイッチ(センサスイッチ)に対応したマグネットリング付ピストンを採用した。自動機のシーケンス制御と組合せることでピストン位置を認識し、替刃(ブレード)の開閉を管理する。作動回数を記録できるため、替刃の交換時期や開閉のタイミング管理などにも役立つ。切断能力は銅線で直径3.3㎜ほど、軟質樹脂で10.0㎜ほどまで対応するため、自動車向けのモーター巻線切断や射出成型品のゲートカットに活用できる。替刃は各種標準品だけでなく、別作で切断以外のカシメや圧着、切欠きなどにも変更可能。

【ロブテックス】超小型オートリベットフィーダー

「製造現場における作業者の負担軽減に向けて、ファスニング分野でこの課題解決に貢献したい」そう話すロブテックスは、これまでにもコードレスリベッター「R2B1」などを発表してきた。3月に発売した小型オートリベットフィーダー「ARF810E」は100V電源のみで稼働できるため、設置場所や作業の自由度が向上。カウンター機能の標準搭載でポカヨケを防止し、リベットを事前に整列させることで3秒に1本以上の高速リベット供給を実現した。同社は手動からエアー・電動など各種リベッターのほか、オートリベッティングユニットやフィーダーなど「お客様独自」の生産ラインに適した商品・システムを提案する。

(日本物流新聞 2023年4月25日号掲載)

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